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 監査の業務について、シンプルなサイトを作成しました。

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不倫慰謝料相談サイトの開設

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ゴールデンウィーク(プラチナウィーク)の営業

 

 今年のゴールデンウィークは4月27日土曜日から5月6日月曜日まで暦の上では10連休です。

 特に大型連休なのでプラチナウィークと呼ぶ向きもあるようですね。

 

 この連休中は、私は遠出せずに仕事をしている予定です。

 

 連休の直前に裁判所から訴状が届いたとか、連休中にご相談が必要な方は、

お問い合わせフォーム

からご来所の希望日時やご相談したいトラブルの内容等をお知らせください。

 

 

 

 

弁護士の退職代行

 

 シンプルかつ速やかに退職をしたいという方向けに、退職(代行)サービスのページを用意しています。

 

 

弁護士による退職(代行)サービス

 

 ご覧頂ければ幸いです。

 

 

 

別のブログ

 

 ブログを別サイトに開設しています。

 

弁護士の言いぐさ

 

 書籍については、このブログを開設しています。

つんどくっ!!

 

 どちらもよろしくおねがいします。

 

電話番号の変更

 

 当事務所の電話番号は、

011-600-2701

に変更いたしました。

 

 ただ、お問い合わせの際は、お電話よりも、お問い合わせフォームをご利用いただければ幸いです。

 

 

 これまでの070-5530-0884も当面の間は使用できます。

 便利なPHSでしたが、サービス終了が見込まれるのと、機器の故障が生じた場合に不都合なため固定電話の番号を取得いたしました。

  ↑このPHSの番号は、PHSサービスの終了前に解約して、既に使用しておりません。

 

 

 

札幌弁護士会の会費

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札幌商工会議所

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『最強の地域医療』

 

 今年5月に亡くなった村上智彦医師のおそらく最後の著書、『最強の地域医療』(ベスト新書)を読みました。

 

 色々な評価、批判のあった村上医師ですけれど、財政破綻した夕張市に入って仕事をした方であるのは事実でしょう。

 

 この本の中で最も気になった一文は、

「地元の住民が起業して雇用をつくり、納税する以外、地域が再生することはあり得ません。」(155p)

というものです。

 財政破綻した地域、過疎地域で行政や地域社会を見てこられた方の大事な指摘だと思います。

 

 

 

 北海道は、道庁や国の補助金等をアテにする側面が強いということは他でも見聞きする指摘です。

 地元で起業して地域再生に繋げるというマインドの広がりが必要なんだと思います。

 

 

 

〒060−0003 札幌市中央区北3西7 1−1 SAKURA-N3
北海道コンテンツ法律事務所
電話070−5530−0884
弁護士 林 朋寛(札幌弁護士会所属)

 

 

 

『そこをなんとか』13巻

 

 

 麻生みことさんの『そこをなんとか』の13巻が最近出ました。

 

 弁護士の仕事について、面白く分かりやすくマンガにした作品です。NHKでドラマ化もされています。

 

 ただ、今回は、そろそろネタが切れてきたのか、キャラクターの人間関係の進展に比重がかかったのか、以前の巻より法律問題について扱うのが薄くなった気がします。

 今後の展開に期待します。ただ、連載が隔月刊誌なので単行本が1年に1冊ペースなのが残念です。

 

 

 今巻でちょっと気になったエピソードは、法律相談を受けた件の相手方から別の機会に同じトラブルについて相談を受けて、結局、双方の話合いに同席するようなことになるというのがありました。そのエピソードの中でも触れられていましたが、弁護士職務基本規程という弁護士が職務上守らなければならないルールがあります。

 相談を受けた件の相手方から同じ相談を受けるのもそのルールに違反しますし、双方の話合いに同席にして意見を述べるというのも問題ありでしょう。

 今回のエピソードでは、決着していますし、主人公の弁護士に紛争の当事者のどちらかからクレームが来たりはしないでしょう。

 しかし、実際のトラブルの場合に、当事者間のどちらにも付かないという体で話合いの場に同席して意見を述べたりすれば、話合いの結果に不満を持った方から弁護士が不正・不公平であったということが言われてしまう可能性が少なくありません。

 そういうことになれば、紛争の解決にもなりませんし、弁護士一般の信頼も損なうことになります。

 こういう問題があるので、そのエピソードでの主人公の弁護士の対応には疑問があります。

 

 もし、弁護士や第三者を間に挟んで話合いでの解決を図りたいのであれば、弁護士会等のADRという手続や簡易裁判所での民事調停を利用すべきです。(主人公の弁護士が、ADRや民事調停を案内していれば、そこで話が終わるので、マンガとしては成立しなかったのでしょう。)

 

 

 

 マンガというフィクションと現実は違うというのはあるにしても、作品はかなり実際に近い内容ですので、弁護士や裁判に興味のある方にも無い方にもお勧めしたい作品です。

 

 

 

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臨時国会が開かれないこと

 

 

 前回(6月23日)のブログ憲法53条の国会召集でも書きました、内閣が臨時国会の召集決定をしないことの問題について、ジジコに私の記事が公開されました。

 

臨時国会が開かれない異常事態!内閣は早急に臨時国会を開くべき

 

 

 上記ブログの記事内容をより整理していますので、ご覧いただければ幸いです。

 

 

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憲法53条の国会召集

 

 

 

 昨日(6月22日)に野党が憲法53条後段に基づいて、臨時国会(臨時会)の召集を要求したところ、安倍内閣・与党は早期召集に否定的との報道がありました。

 

 

 わが国の憲法53条は次のとおりです。

 

第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない

 

 

 

 

 衆議院と参議院のどちらかの議院のうち、総議員の4分の1以上の議員の要求があれば、内閣は必ず国会を召集しなければなりません。

 国会審議で都合の悪いことを追及されるのを避けたいからといって、内閣が召集を遅らせるようなことは許されていません。内閣が裁量的に召集時期を自ままにできるのであれば、「召集を決定しなければならない。」という規定を実質的に無効にするからです。

 

 

 憲法が臨時会の召集時期を明示的に規定していないことについては、臨時会がどのような時期・状況で要求されるのかその時々のことなので明示的に規定しなかったことは合理的ですし、できるだけ早く召集されるのが国会の役割からして当然であるとしてあえて規定されていないと言えます。

 

 

 内閣が国権の最高機関(憲法41条)である国会の召集を遅らせるというのは、国会の権威を著しく傷つけ、国会の活動を阻害するもので、国家国民に対する反逆行為です。

 

 

 内閣としては、臨時会の召集の要求を受けた以上、できるだけ速やかに召集を決定すべきでしょう。

 

 

 ところで、衆議院の解散総選挙が行われた際には、選挙の日から30日以内に召集しなければならないとされています(憲法54条1項)。

 

 自民党の改憲草案でさえ、臨時会は召集の要求があった日から20日以内に召集されなければならないとしています。

 

 この30日とか20日というのは、内閣が召集をするかどうかその都合で決めて良い期間ではなく、どんなに遅くてもその期日以内に召集決定をしなさいということです。

 

 

 また、国会法では、年1回の通常国会(常会、憲法52条)の場合の召集詔書は国会開会の少なくとも10日前には公布しなければならないとされています(国会法1条2項)。しかし、臨時会は、この詔書の交付は10日前によることを要しないとされており(国会法1条3項)、その趣旨は、召集詔書の公布から10日以内でも臨時会の開会がされることがありうるからです。

 

 このほか、衆議院議員の任期満了の場合や参議院議員の通常選挙の場合は、常会や特別会が召集されない限り、任期が始まる日(公職選挙法256条、257条)から30日以内に臨時会が召集されることになっています(国会法2条の3)。

 

 

 

 このように、国会召集(内閣の助言と承認により天皇が行います。憲法7条2号)の時期に関する規定から考えれば、臨時会については、10日以内に召集できない合理的な正当理由がなければすぐに召集すべきだといえるでしょう。

 理由があってすぐに召集できないとしても、震災で国会議事堂が崩壊したとかでもなければ、要求から30日以内には召集しなければならないでしょう。

 もし、要求から30日を経ても臨時会を召集しようとしないのであれば、内閣は憲法に反して(つまり、国家国民に反逆して)臨時会を召集する決定を怠ったというべきでしょう。

 

 

 

 

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札幌弁護士会経由の受任の弁護士費用

 

 

 今年1月に、法律センター経由の受任の上納金というブログ記事をアップしました。

 この中で述べたように、札幌弁護士会の法律相談センターでの相談を経た受任の場合は、

弁護士費用(着手金・報酬金)の一部を事務手数料として、受任した弁護士が弁護士会に納付しなければならないとされています。

 平成29年4月以降は、5万円(税別)を超える金額を依頼者から受領した場合は、その税込み金額の15%を納付しなければならないとされています。

 

 つまり、法律相談センターで相談担当なった弁護士にその相談から引き続いて依頼をした場合、たとえば30万円(税別)の着手金だと、税込み額32万4000円の15%の4万8600円をその弁護士は弁護士会に納付することになります。そうなると、その弁護士が実質的に着手金として得るのは、27万5400円となります。

 

 

 法律相談センター経由の事件でもその他の事件でも、依頼者に提示する弁護士費用が同じようにしている弁護士の場合は、法律相談センター経由の事件は他の事件より実質的に安い弁護士費用で受任していることになります。安い弁護士費用だから他の事件に比べて手を抜くかどうかはその弁護士次第でしょう。ただ、そういう状況になっていることは、法律相談センター経由の依頼者には知られていないでしょう。

 

 また、実質的に安い弁護士費用で受任すること弁護士が避けるには、通常の弁護士費用の見積よりも高めの見積を提示することになるでしょう。つまり、法律相談センター経由の依頼者は、そうでない依頼者よりも高めの弁護士費用を提示されているかもしれないのです。

 このことについても、法律相談センター経由の依頼者には弁護士は教えないでしょう。

 

 

 

 私は、今年度から法律相談センターに登録して少しながら相談担当の機会があります。

 当事務所は、法律相談センター経由、つまり、弁護士会に事務手数料名目で上納しなければならない場合の依頼者については、通常の見積額より20%増額した弁護士費用で提示させていただきます。

 

 

 なぜ、こんなおかしなことになったのか、導入の際の議論は知りません(札幌に帰ってくる前のことです。)。

 おそらく次のような流れで、相談センターの維持を目的とした歪な状況になったのでしょう。

 弁護士会の法律相談センターの相談件数が全国的に減少する中で、札幌弁護士会は相談料の完全無料を実施して、相談件数の維持を図ろうとしています。そのため、相談が入るごとに相談料から事務手数料を相談センター維持のために徴収できなくなったのでしょう。また、弁護士会が出張相談や弁護士会館以外の相談センターを維持するのも費用がかかります。

 そこで、法律相談センターの事業を維持継続するため、無料相談をうたった相談センターを利用して弁護士に依頼することになった一般市民と受任することになった弁護士に事務手数料の負担をさせることにしたのではないかと推測します。

 

 

 そもそも論ですが、弁護士の広告がある程度自由化されて一般に情報提供もされ、過剰に弁護士が増員されたと言われる現在では、むかしのように弁護士会で相談センターのような窓口を設ける必要は無くなったでしょう。

 

 

 

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道新にコメントが載りました

 一昨日(6月19日月曜日)の北海道新聞朝刊の第一社会面(4コマ漫画の面)の記事

裁判員辞退率、道内68% 負担感で増加か

の紙面の最後に私のコメントが載りました。

 

 裁判員制度の見直しの必要を述べています。

 ウェブの記事の無料の範囲では、私のコメント部分までは表示されませんので、紙面をご覧いただければ幸いです。

 

 私は、

裁判員制度は、実際の国民生活のことなど全く配慮していない制度ですし、

裁判員制度を円滑に進めるため適正な審理を犠牲にしかねない制度(極論すれば冤罪を生みやすい)であること等から、廃止すべきだと考えています。

 

 上記のコメントを求められたのは、次の記事などで、コメントしてきたからでしょう。

 

裁判員裁判死刑判決を破棄 裁判員裁判のあり方が問われることに

 

 裁判員法は、裁判員制度の趣旨を「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」としています。

 もし、司法に対する理解や信頼を確保したいのであれば、法廷の撮影や中継など司法の情報を国民に開くことこそが重要であって、くじ引きで選んだ国民を刑事裁判に参加させる必要はありません。

 

 

 国会は、裁判員制度について早々に廃止を含めた見直しをすべきです。

 

 

裁判員法

(趣旨)
第一条  この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
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弁護士ドットコムニュースの記事

 私が取材協力させてもらった弁護士ドットコムニュースの記事を整理しました。

 

【コロナ関連】

「県外の方、入店お断り」 コロナ対策の張り紙は「地域差別」なのか?

 

【民事訴訟】

アメリカ市民「中国政府を訴えてやる」 コロナ拡大で集団訴訟あいつぐ

 

【税務】

「イートイン脱税」「正義マン」より害悪なのは「軽減税率」そのもの…弁護士が法的問題を検証

 

超希少「サントリー響30年」偽物をメルカリで売り、詐欺容疑で逮捕 酒税法にも違反?

 

「極ゼロ」企業努力は泡となるか…国に115億円返還求め提訴、酒税のあり方を考察

 

【公務員】

文科省元幹部「天下り」早稲田大にあっせん…省庁側、再就職した本人の法的責任は?

 

【国家賠償責任】

【博多駅前陥没】玄関前崩壊のセブンイレブンやシステム障害の銀行、補償はどうなる?

 

国民年金】

年金保険料の強制徴収「年収300万以上」に範囲拡大へ…どんな場合に対象になる?

 

【プライバシー侵害】

中森明菜さん「隠し撮り写真」掲載の出版社敗訴、芸能人プライバシー侵害の基準は?

 

ジブリの新作映画「風立ちぬ」 実在の人物をモデルにするときの注意点とは?

 

【人種差別】

 

「マナー悪いので日本人お断り」の石垣島ラーメン店、差別にあたらないのか?

 

Jリーグ外国人選手に「人種差別的」投稿あいつぐ…どんな法的措置を取れる?

 

【投票価値の不平等】

「一票の格差」解消に有効? 国会で議論している「アダムズ方式」の仕組み

 

参院選「一票の格差」縮めるため、県をまたいだ「合区」――弁護士「これでは不十分」

 

 【町内会】

小栗旬さん、山田優さんに「町内会費を払って」 加入を義務づけることは可能か?

 

【学校】

卒業式後の謝恩会「強制参加」、欠席しても費用「強制徴収」…法的拘束力はある?

 

【航空機】

沖縄の「米軍ヘリ」にレーザー当てて逮捕、もしも「墜落」したらどんな罪になる?

 

【レジャー】

「カクレクマノミ、捕ったどー!」ダイビング中に「魚」を持ち帰ったらダメ?

 

ダイビング事故のツアーガイドに「無罪」の判決・・・ダイビングは「自己責任」か?

 

ハチの大群のせいで高校野球の試合が「中止」 もし観客が刺されたら誰の責任?

 

【地方自治】

若手議員だけ報酬「月12万円アップ」 長崎県小値賀町「新条例」は年齢差別では?

 

小中学校にエアコンを設置すべきかーー所沢で実施される「住民投票」ってどんな制度?

 

【大学の自治】

五輪中「授業避けてボランティア促して」文科省の通知、「大学の自治」に反する?

 

京大「立て看板」騒動、警察も介入…「大学の自治」の侵害にならないのか?

 

京大で学生と警官がトラブル 「捜査のため」でも大学に勝手に入ったらダメなのか?

 

ドラえもんの着ぐるみで「京大」うろつき逮捕、卒業生「いつからこんな場所に・・・」

 

【米軍問題】

沖縄の小学校に米軍ヘリの窓落下…被害者が出ても、日本の裁判所が米軍人の刑事責任を問えない理由

 

日本が米軍の「賠償金」を立替え? 米軍ヘリ「墜落事故」で民間に被害が出たら・・・

 

 【ネット転売】

出版社が回収した「ダーリンは70歳 高須帝国の逆襲」、メルカリやヤフオクで売るのはOK?

 

 

アンケート回答分

【労働問題】

残業、月100時間未満「過労死なくならない」「はじめの一歩」弁護士14人の意見

 

【民事訴訟実務】

稲田防衛相、10年以上前の出廷「記憶にない」なんてありうる? 弁護士36人の見解

 

【元号】

改元を機に、法律文書「元号」表記を西暦に変えるべきか、そのまま使い続けるべきか?

 

 【法教育】

学校で「法律を学ぶ機会」もっと増やすべきか? 弁護士19人の「賛否両論」

 

 【高校野球】

熱中症が懸念される甲子園「汗に感動、悪しき習慣」「ドーム開催を」「聖地変更ありえない」弁護士たちの声

 

 

 

 

 他に、ジジコに寄稿した記事を整理しています。

 

 

 

 

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サッポロビールの酒税の訴訟

 

 

 

 弁護士ドットコムニュースにコメントした記事が公開されています。

「極ゼロ」企業努力は泡となるか…国に115億円返還求め提訴、酒税のあり方を考察

 

 上記記事について補足したいと思います。

 

 

 サッポロがいわゆる「第三のビール」として発売した旧「極ゼロ」が、

第三のビールに該当しないと国税当局(税務署)が指摘したため、

サッポロは、修正申告して、いったんは約115億円を納税しました。

 サッポロは、再検討の結果、やはり「第三のビール」にあたるはずだとして、税務署長に「更正の請求」を行いました。

 「更正の請求」というのは、税務署長に対して、納税者に有利に課税処分を変更するよう求める手続です。

 しかし、税務署長は、更正する理由はないとして、更正の請求をしませんでした。

 そのため、サッポロは、税務署長の更正の理由がないとの通知処分を取り消すことを求めて、裁判所に訴訟を起こしました。この訴訟提起が、このたびニュースになりました。サッポロもホームページにニュースリリースを出しています。

 そのニュースについてコメントしたのが上記の記事です。

 ニュースリリース等では出ていませんが、

更正の理由がないとの通知処分の取消請求の他に、

おそらくは、税務署長に更正を義務付ける請求も訴訟でやっていると思います。

 

 

 

 

 酒税というのは、酒類の種類等に応じて、日本国内で製造される酒類であれば、製造者つまりメーカーに対して、酒蔵から出庫した数量に応じて課せられている国税です。

 消費者に課されている税金ではないですが、この課税分は、当然ながら、小売価格に反映します。税金分が赤字になるような商品をメーカーは売れませんから。

 

 

 

 酒税法は、酒の種類によって課される税金が違ってきます。

 酒税法では、酒類の酒類はおおまかに4つに分類されます。

 ビール、発泡酒、第三のビールは、酒税法では「発泡性酒類」に分類されます。

 

 

 ビールには、発泡性酒類の基本税率が適用されることになっています。

 

 発泡酒や第三のビールについては、軽減税率の規定が適用されます。

 というより、軽減税率の適用を受けるように、「発泡酒」や「第三のビール」を作っているのです。

 

 

 酒税法では、1キロリットルつまり1000リットルあたりいくらの酒税という定められ方をしています。

 それだと分かりにくいので、1缶350mlあたりに換算して表現するのが、ニュース等でよく見る数字です。

 

 ビールは、350mlあたり77(酒税法2311号)の酒税がかかっています。

 多くの発泡酒(麦芽比率25%未満のもの)だと350mlあたり47(同条22号)です。

 第三のビールとか新ジャンルなどと言われるものには、350mlあたり28(同項3号)です。

 

 

 酒税法では、大まかにいうと、

ビールは、ホップと水以外の原料が麦芽100か、その他の原料を含む場合は麦芽の重量の半分以下のものをいいます(酒税法312号)。この後半の定義から、麦芽が3分の2以上ということが言われることになります。

 

 発泡酒は、麦芽または麦を原料とした酒類でビール等に該当しないものです(酒税法318号)。

 

 第三のビールや新ジャンルなどと言われているものは、大豆やエンドウ豆、とうもろこし等を原料としたもの(酒税法2323号イ)や、発泡酒にスピリッツ(蒸留酒)を加えたものです(酒税法2323号ロ)。

 細かい話ですが、第三のビールで、エンドウ等を原料としたものが醸造酒の一種で、スピリッツを加えたものをリキュールの一種というような説明を見掛けます。しかし、酒税法の定義からは、醸造酒やリキュールは、発泡性酒類を除くものと規定されていますから、正しい説明ではありません。

 

 参考までに条文を載せます。飛ばして読んでいただいても大丈夫です。

 

 

 

酒税法

(課税物件)
第一条  酒類には、この法律により、酒税を課する。

 

(酒類の定義及び種類)
第二条  この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。
 酒類は、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類の四種類に分類する。

 

(その他の用語の定義)

 

第三条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 アルコール分 温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。 
 エキス分 温度十五度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。 
 発泡性酒類 次に掲げる酒類をいう。
 イ ビール
 ロ 発泡酒
 ハ イ及びロに掲げる酒類以外の酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が十度未満のものに限る。以下「その他の発泡性酒類」という。)
 醸造酒類 次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。
 蒸留酒類 次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。
 混成酒類 次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。
 イ     略
 ニ リキュール
十二  ビール 次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
 イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
 ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
十八  発泡酒 麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第七号から前号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が二十度未満のものに限る。)をいう。 
(税率)
第二十三条  酒税の税率は、酒類の種類に応じ、一キロリットルにつき、次に定める金額とする。
 一  発泡性酒類 二十二万円 
 二  醸造酒類 十四万円 
 三  蒸留酒類 二十万円(アルコール分が二十一度以上のものにあつては、二十万円にアルコール分が二十度を超える一度ごとに一万円を加えた金額) 
 四  混成酒類 二十二万円(アルコール分が二十一度以上のものにあつては、二十二万円にアルコール分が二十度を超える一度ごとに一万千円を加えた金額) 
 発泡性酒類のうち次の各号に掲げるものに係る酒税の税率は、前項の規定にかかわらず、一キロリットルにつき、当該各号に定める金額とする。
 発泡酒(原料中麦芽の重量が水以外の原料の重量の百分の五十未満二十五以上のものでアルコール分が十度未満のものに限る。) 十七万八千百二十五円
 発泡酒(原料中麦芽の重量が水以外の原料の重量の百分の二十五未満のものでアルコール分が十度未満のものに限る。) 十三万四千二百五十円
 その他の発泡性酒類(ホップ又は財務省令で定める苦味料を原料の一部とした酒類で次に掲げるもの以外のものを除く。) 八万円
 イ 糖類、ホップ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたもの(エキス分が二度以上のものに限る。)
 ロ 発泡酒(政令で定めるものに限る。)にスピリッツ(政令で定めるものに限る。)を加えたもの(エキス分が二度以上のものに限る。)

 

 このように、ややこしい酒税の課され方になっているのは、もともと高級品だったビール等の酒類に高い税金を掛けて、そこまでの税率がかからない発泡酒が売れると、発泡酒の税金を上げることにしたため、今度は第三のビール(あるいは第四のビール)とか新ジャンルと言われるものが開発されたという流れもあるからです。

 こういった複雑な課税については批判もあることから、平成293月成立の酒税法の改正で、段階的に税率を変更し、平成38101日からは350mlに対して54円に統一されることが決まりました。

 そうなると、ビールについては減税になり、発泡酒や第三のビールについては増税になることになります。

 

 そもそも、ビール等が高級品だった時代に富裕層から多く税金を取ろうという趣旨だった酒税法の合理性は、今の時代には消滅しているでしょう。

 また、原料の違いや酒類の違いで課税される金額が異なることになっていることついて、一般の国民が納得できるだけの合理的理由はないと思います。

 

 

 

 製造時に課された酒税は、本体価格に反映されますから、酒税分についても消費税が掛かっていることになり、税金の二重取りになっているように思えます。

 

 酒税収入は、下がっているとはいえ平成27年度で1兆3000億円ありましたから、国としては手放せない財源でしょう。

 しかし、課することに合理性のなくなった税金は課すことを正当化できないでしょうし、消費税負担が増す国民としては、酒税自体が廃止される恩恵もあるでしょう。

 私としては、酒税自体は廃止かばっさりとした簡素化が必要だと思っています。

 

 

 

 極ゼロの裁判の話に戻ると、酒税法2323号ロのその他の発泡性酒類に該当するかどうか、該当しないとなると発泡酒類の基本税率(ビールと同じ扱い)が課されることになるというところの争いです。

 

 本件に限らず、裁判は、どのような主張・立証がなされているかが分からないと、報道だけでは具体的なことは分からないものです。

 製法や成分での争いになっているとは思いますが、国税不服審判所の裁決書は公表されていないようですので、今のところは確認できません。

 

 

 メーカーの企業努力に酒税法の規定が追いついていないのでしょう。

 もしそうならば、今の酒税法の規定は、課税要件明確主義(課税要件はあらかじめ明確でなければならないという原則 憲法84条)から見ても問題の大きいものになっていると思います。

 

第八十四条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 

 

 

 

 本件のように、日本独自の税制に縛られて国内消費者向けの開発競争を行ったために海外向けの製品開発が遅れたとも言われています。税制のために企業の自由な開発や競争が阻害されているのではないかと思います。

 

 

 

 

 本件とは離れますが、酒税法では、個人が自由に酒を造ることを、酒税を課すという国の都合で規制しています。

 国民は税金を納めるために生きているわけではないので、税金のために自由な活動を規制するなど本末転倒というべきです。

 

  

 酒税法という法律は、国会で抜本的に改廃されるべきものだと考えます。

 法律がおかしいのは、国会議員を選んだ国民が払うべきツケです。

 

 

 

 

 

 

 上記記事では、税務署に対する異議申立が通りづらいことについても言及しています。

 ざっくり言うと、納税者側の主張が認められるのは10%くらいというと、思ったより高いという感想の方もいますので、通りづらいかどうかは人それぞれの感想でしょう。事案ごとに内容は全く違うものですし。

 

 

 なぜ納税者側の主張が通りづらいのかということについては、課税処分の段階での認定が手堅いからなのかもしれません。税務署側も争いになって負けると困るというのもあります。

 

 しかし、国税(税務署)や地方税(地方自治体)のいずれの場合でも、税金の徴収をするため強引な主張や手続をとってくることもあります。

 公務員が法律や国民の権利を軽んじることは体験しないと、なかなか信じてもらえません(警察の問題と同じです。)。

 

 それはそうと、他にも納税者に不利な問題点があります。 

 納税者側において取引や財産の移転等の課税に関わることについて、実体を裏付ける契約書などの資料を作成・保管していない場合があります。納税者側の説明を裏付ける資料が無いと、その説明を税務署や裁判所に納得してもらうのは容易ではないでしょう。

 

 税務調査に入られても、きちんと言うべきことは主張して争うことをしない人が多いのかもしれません。

 税務調査に入られた先の顧問の税理士でも、税務署ときちんと争う意識・方法を持っていない場合があります。

 

 審査請求や訴訟といった手続で、行政側と争うことをためらう企業や個人も少なくないでしょう。

 そのため、不服申立の手続において本当なら是正されるべきものが眠ってしまっているのかもしれません。

 

 

 国税不服審判所の審判官は民間からの登用も増えてはいるものの、国税庁・税務署の職員の出身者が多いことや、国を相手とする訴訟の国側の代理人が裁判官から法務省に出向している訟務検事が務めていることなどや、裁判所調査官で税務を担当しているのが国税庁からの出向者であったりすることなど、国側に有利と見られるような状況も納税者の主張が通りづらい一因と思われても仕方ないでしょう。 

 

 よりよい国、よりよい社会にするためにも、問題のある課税等にはしっかり異議申立がなされるべきです。

 

 

 

 

 

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弁護士 林 朋寛

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教育の全部無償化を憲法改正の口実にすること

 

 

 

 憲法改正に関して、教育の全部無償化を取り上げるという話があります。

 この全部というのは、現在の義務教育(普通教育)の小中学校だけではなく、幼稚園や高校、大学、専門学校などに無償化を広げるということのようです。

 結論としては、教育無償化をネタに憲法改正を言うのはペテンの一種です。

 

 

 憲法は、教育の無償化を禁止しているわけではありません。

 

 教育については、まず、憲法26条があります。

 

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

 

 憲法は、国家の最低の義務として、義務教育の無償を定めているのであって、義務教育以外を無償としてはいけないとは定められていません。

 

 

 また、憲法89条では私学に関して規定があります。

 

第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

 

 この規定によれば、「公の支配」に属しない教育には公金で援助ができないとされていますから、私学に援助ができるのか問題になります。

 この「公の支配」については、議論があるところではありますが、「公権力が当該教育事業の運営・存続に影響を及ぼすことにより公の利益に沿わない場合にはこれを是正する途が確保され、公の財産が乱費されることを防止できること」と考えられています。

  そのような理解で私学助成は、憲法89条に違反しないものと考えられています。

 

 

 私学について全額無償化をするとしても、現在でも私学助成が合憲とされているように憲法89条で禁止されていることにはならないでしょう。

 

 そもそも、教育の全部の無償化は、国公立の学校についての無償化の問題でしょう。

 私学にどの程度の助成をしていくかは、国公立の無償化の次の問題です。

 

 

 上記のとおり教育の無償化の政策を実現しようという場合に、憲法を改正しなければできないということはありません。

 

 

 国会が無償化を実現するための法律を制定し、その法律を執行するための予算を確保すれば、教育の無償化は実現できます。

 今からでも実現しようとすれば教育の無償化はできるのに、それはしようとせずに、憲法改正を云々するのは、憲法改正の事実を積み上げるための口実に「教育の無償化」を使って国民を欺こうとしているのに他なりません。

 

 

 

 もし、教育の無償化の政策が実現したとして、将来の国会や内閣においても「教育の無償」を継続させようという必要があれば、その場合は将来の国会・内閣を縛るため憲法で教育の無償化を憲法に盛り込もうという話であれば理解はできます。

 しかし、今、全部無償化を実現してもいないのに憲法改正のことを殊更に言うだけですから、真に教育無償化を行うつもりはないのではないかと思います。

 

 

 

 

 私としては、教育無償化が憲法に規定されてしまうと、現在の義務教育の無償の保障さえ、事実上守られなくなるおそれがあると考えます。

 長年、義務教育の無償化は続けられてきた実績があり、その積み上げを国会・内閣が簡単に壊すことはできないでしょう。

 しかし、教育を全て無償とする憲法上の規定になってしまうと、その実現に必要な予算は膨大なものになり、実際上は実現不能ということになってしまって、現実と憲法の規定をすりあわせるために、教育無償の規定自体が努力義務を定めたものだという解釈で骨抜きになってしまう危険があります。

 

 

 

 かつては義務教育の無償について、プログラム規定かどうかという議論がありました。プログラム規定というのは、平たくいうと国の努力義務・目標を定めたものであって、実現しないからといって必ずしも憲法違反にはならないという考えです。

 現在では、義務教育の無償は憲法26条2項後段によって直接保障された具体的な権利であるという理解が定着しています。

 教育の全部無償化を憲法改正で規定すると、義務教育の無償までも国民の権利ではなく国家の努力目標になってしまうかもしれません。

 

 

 

 

 繰り返しになりますが、憲法改正で教育の無償化を言うのは、憲法改正のための聞こえの良い口実でしかありません。

 そういうことを言う人の主張は、警戒する必要があります。

 

 

 

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裁判員制度についてのコメント

 裁判員裁判の死刑判決を高裁で破棄して無期懲役に変更したニュースについてコメントした記事が公開されました。

 裁判員制度の今後のあり方について、次のとおりコメントしています。

 

私は、裁判員に当たった国民に時間的あるいは精神的に大きな負担を課す裁判員制度は廃止すべきだと考えています。
もし国民が裁判に参加する制度を続けるとすれば、国や地方自治体の行為が問題となる行政訴訟や国賠訴訟に参加してもらうようにすべきでしょう。
刑事事件で裁判員制度を続けるとすれば、裁判員の関与は有罪かどうかの判断までで量刑判断はしないようにする、対象事件を否認事件に限る、裁判員をした人の判決後の守秘義務の緩和、といったことなどの改善が必要だと思います。

 

 

 ↓記事本文もご覧いただければ幸いです。

裁判員裁判死刑判決を破棄 裁判員裁判のあり方が問われることに

 

 

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「主要農作物種子法」を保護する。

 

 

 

 主要農作物種子法が廃止されようとしています。

 

 種子法は、主要農作物(稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とした法律です。「ほ場」(圃場)とは、田畑のことです。

 種子法によって、わが国の主要農産物の種子は保護されてきました。

 

 今国会で、内閣が、種子法を廃止する次の法案を衆議院に提出しています。

 

主要農作物種子法を廃止する法律案

 主要農作物種子法(昭和二十七年法律第百三十一号)は、廃止する。

   附 則

 この法律は、平成三十年四月一日から施行する。

 

     理 由

 

 最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 上記のように、具体的な理由は記されていません。

 種子法の廃止については、種子の高騰や外資系企業(というか米国の企業)の遺伝子組み換えの種子が流入するなどの危険が指摘されています。

 わが国が瑞穂の国である時間もわずかなのかもしれません。

 

 

 私には、種子を保存しておくことはできません。

 廃止によって政府の法令のサイトでも種子法が消されるかもしれませんので、種子法だけでもブログに保存しておきます。

 

 

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札幌高裁への控訴

 

 

 

 北海道には、地方裁判所が4つあります(札幌地方裁判所、旭川地方裁判所、函館地方裁判所、釧路地方裁判所)。

 

 地方裁判所の民事事件、刑事事件の控訴事件や家事事件の抗告事件は、高等裁判所に申立ることになります。

 北海道内の地方裁判所・家庭裁判所の事件は、札幌高等裁判所に申し立てます。

 札幌高裁には支部がありませんので、札幌市内にある札幌高裁(札幌地裁と同じ場所)に全て係属することになります。

 

 

 旭川、函館、釧路の裁判所の事件の判決に不服があっても、札幌が遠方ということで、心理的に控訴をためらう人がいるかもしれません。釧路の控訴率が平均より特に低いという話もあります。

 

 また、遠方ということにより、本人の交通費や、弁護士の日当・交通費がかさむことを心配して、控訴することをあきらめる場合もありえます。

 

 

 しかし、控訴審は、初回期日は裁判所に行かなければならないとしても、初回で結審することもありますし、

弁論準備手続になれば電話会議システムを使って裁判所まで行かずに済む場合もあります。

 

 控訴すること等をあきらめるのではなく、費用が心配なら、一審で依頼した弁護士等に費用の見積を聞いて判断すべきでしょう。

 なお、北海道に限った話ではありませんが、電話会議を使えば済むのに、日当欲しさにわざわざ出張する弁護士もいます。

 

 札幌地裁の管轄地域以外の方が一審の弁護士を変えたい場合、高裁のある札幌の弁護士に依頼することも可能です。

 新しい弁護士を探したり、イチから説明をしたりする不便があるかもしれませんし、打ち合わせがしづらいというデメリットがあるかもしれません。

 地元で弁護士を探すか、札幌の弁護士を探すかはそれぞれのメリット・デメリットがあるでしょう。

 大事なのは、地元かどうかではなく、信頼できて自分に合う弁護士に依頼することだと思います。

 

 

 

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税金の滞納処分(強制徴収)と令状主義

 

 

 

 税金を滞納して、督促を受けて払わないと、財産が差し押さえられること等があります。

 税金の滞納者の財産から強制的に滞納された税金を回収することを滞納処分(強制徴収)といいます。

 滞納処分は、税務署の職員ら(徴収職員)によって行われます。

 滞納処分のため必要があるときは滞納者の物や住居などを捜索することができます。

 

 これらの手続は国税徴収法に規定され、地方税については地方税法で準用されています。

 

 

 ところで、我が国の憲法の第三章国民の権利及び義務には次の規定があります。

第三十五条  何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

 

 2  捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
 1項の第三十三条の場合というのは、現行犯逮捕の場合を指します。
 2項の司法官憲というのは、裁判官のことです。
 つまり、憲法35条の1項は、誰に対しても住居や物を捜索したり押収(差押え)したりするには、現行犯逮捕の場合以外は、正当理由に基づいていて、場所や物が明示された令状が必要だと規定しています。
 さらに、憲法35条2項で、その捜索・差押は、権限のある裁判官が出す令状によって行うとされています。
 憲法35条によるルールを令状主義と言います。
 となると、疑問なのは、税金の滞納処分において、裁判官の令状無しで、
税務署の職員や地方自治体の税務課の職員が、滞納者の財産を捜索したり差押えができているのは
令状主義に違反するのではないかということです。
 つまり現行の滞納処分の制度は、憲法違反ではないかということです。
 この点について過去の裁判例も無いようです。
 任意の質問・検査については最高裁の判例(昭和47.11.22)があり、その中では、
憲法35条1項の保障は刑事手続に限定されるわけではないことは言及されています。
 憲法や税法の教科書などで、令状主義と滞納処分の関係についてよく取り上げられるようなものではないようです。
 私の手元の書籍では、言及はありません。
 憲法学者からすると、憲法35条あたりは、憲法のメジャーなところというより刑事法で議論されるようなとことなのでしょう(偏見)。
 刑事法の学者からすれば、憲法35条と税法との絡みは興味ないしでしょう(偏見)。
 税法の研究者は、徴収手続の中での憲法の絡みには憲法分野で議論すればいいと思っているのかもしれません(偏見)。
 税務訴訟で争われたことはあったのかもしれません。そうであれば、公刊される判例になったり、教科書的にメジャーな論点にはならなかったのかもしれません。
 その点についての論文を書かれた研究者がいれば、私の不勉強をお詫びします。
 過去にどの程度の議論があったにせよ、
上記の憲法上の問題の他に、現行の滞納処分の制度やその運用には、国民の財産を保障する観点から問題が多いと思います。
 立法的な検討・改善も大事ですし、裁判を通じて改善していけることもあると考えています。
 機会があれば、上記の点についても最高裁判所の憲法判断を求めてみたいです。

 

 

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「天下り」そのものを禁止できないか

 林のコメントした記事が先月下旬に公開されています。

 

文科省元幹部「天下り」早稲田大にあっせん…省庁側、再就職した本人の法的責任は?

 

 この中で、「天下り」そのもの、つまり退職した公務員が退職前の役所に関係していた外郭団体や企業に再就職すること自体は、禁止されていないという指摘をしました。

 天下りそのものが禁止されていないのは、退職した公務員に職業選択の自由(憲法22条1項)があるから、とか、公務員も退職後の生計を立てる必要があるからといった理由が一般に言われます。上記の記事でもそのようにコメントをしています。また、就職を受け入れる側にも誰を採用するかを決める自由があります。

 

 しかし、職業選択の自由があることから天下りを禁止できないというのは、早計ではないかと思います。

 特定のあるいは一定範囲の団体や企業への就職を規制することは、職業選択の自由を侵害しないのではないかと思います。つまり、補助金を受けているとか許認可の対象だったとかの一定範囲の団体や企業で、職員や役員に就くことを規制されたとしても、他の企業団体で、職員でも役員でも就くことは許されるからです。

 また、職業選択の自由の侵害だと言っても、この自由は、社会的相互関連性が大きいから精神的自由に比べて規制されても合憲となる範囲は広いと考えられています。

 公務の公正や中立性の保持や無駄な事業団体の発生防止といった必要性から、合理的で明確な基準をもって天下り自体を禁止することも合憲とするのは可能ではないかと思います。

 

 退職後の生計でいえば、公務員に限らず、定年退職後の再就職の必要はあるのであるし、天下りをしないと生計が立てられないわけではないのですから、生計を理由として天下りを許容するのは適切な理由付けではないと思います。

 

 

 または、逆に、天下りは許容するとして、天下りを受け入れた所には天下り後の一定期間は補助金等を一切支給しないとする方法もあるのではないかと思います。

 

 

 

憲法 第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 

2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 

 

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リーガルテックという新ビジネス分野

 法務(リーガル)とITinformation technology インフォメーション・テクノロジー)を掛け合わせたリーガルテックというビジネス分野が伸びているそうです。

 

 この分野では、もはや老舗といった感じの弁護士ドットコムは、株式上場しています。

 弁護士ドットコムのように弁護士の検索サイト・法律相談サイトは、出版社系のところなど他にもいくつか見られましたが、

弁護士ドットコムが先行者としてダントツのアクセス数・登録数でしょう。

 後追いで、司法試験予備校系だと思いますが、リーガラスというサイトがどのように差別化を図っていくのか気になるところです。

 

 弁護士の検索サイトは、離婚とか、交通事故とかの相談件数がそれなりに多くて、弁護士でない方でも問題の分野が判断しやすいものに特化した方がユーザーに利用されやすくて、生き残っていくような気がします。

 

 

 リーガルテックは、検索サイトだけではなく、弁護士やその他の士業に見積依頼をすることができるシェアーズというサイトもできています。

 検索だけではなくて、サービスを提供するところがニーズを掘り起こしていくのかもしれません。

 

 上記の弁護士ドットコムは、クラウドサインという契約書の締結に関する事務作業をクラウド上で行うサービスを提供しています。このサービスを事業の柱にするつもりなのか、このサービスを提供することによって契約書を大量に締結するような企業でITに積極的な企業を取り込んでいこうということなのか、同社の考えは分かりません。

 

 検索サービスではなくて、クラウドサインやシェアーズのようなサービスこそがリーガルテックという言葉で表される新しいビジネス分野のサービスなんだと思います。

 

 

 

 

 なお、法律問題に関するビジネスでは、利用者がつけ込まれて不利益を被らないように弁護士・弁護士法人でない者が法律事務を扱うことについて弁護士法の規制があります。これに違反すると犯罪になります。

 新しいビジネスは、規制の中でどのように進展していくか法的観点から知恵を絞る必要があります。

 

 

 

 

弁護士法

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

 

【追記】

 

 リーガルテックという言葉は、消されたデータ復元などのサービス分野でも、証拠収集に関わるサービスということで、使われています。紛争解決や事実の解明に役立つ証拠の収集や、証拠収集の過程が適法で後から検証できる(捏造でない)ものであることは、法的には重要になってきます。

 しかし、こういう分野は、法的サービスの需要に応えたり新たなサービスを広げたりということではなく、パソコンやスマホからのデータ復旧が法的手続の中で利用される場合の話なので、上記のビジネスの話とは違う話のように思います。

 

 

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法律相談センター経由の受任の上納金

 弁護士は、事務所のある場所を管轄する弁護士会に必ず加入しなければなりません(強制加入)。

 弁護士会は、地方裁判所に対応して置かれています(東京だけは3会あります。)。

 各地の弁護士会には、法律相談センターがあります。無いところは聞いたことがありません。

 

 札幌弁護士会にも法律相談センターがあります。

 札幌弁護士会の法律相談センターだけは、相談料(業界の相場としては30分5000円)が完全無料です。

 つまり、相談者の資力や相談の分野に関わらずに、相談は無料となっています。

(私は、弁護士会が無料相談をすることも問題と考えていますが、今回は置いておきます。)

 

 

 弁護士による法律相談では、様々な悩み・問題を相談して、相談だけで整理・解決される場合もあります。

 しかし、相談内容によっては、弁護士に依頼して交渉や訴訟をやってもらわないと解決できないものもあります。

 弁護士会の相談センターで相談を担当してくれた弁護士に引き続き依頼することができます。

 そもそも、弁護士会のセンターに来られる方は、他に相談する弁護士を知らないという方も少なくありませんから、

相談で担当した弁護士に依頼するのがある意味自然な流れになります。

 

 依頼する場合の弁護士費用(着手金・報酬金)は、その弁護士が提示したもので相談者がよければ、委任契約を結んで依頼することになります。

 問題は、この場合の弁護士費用についてです。

 法律相談センターで相談を受けた事件を受任する場合、受任する弁護士は、その着手金・報酬金から法律相談センターに一定割合を事務手数料として納めることになっています。

 

 

 このように弁護士が受任した場合の弁護士費用から弁護士会・相談センターに一部を納めさせるのは、札幌弁護士会だけの制度ではありません。

 私が東京弁護士会に所属していた10年ちょっと前では、東京弁護士会の法律相談センターが弁護士費用の金額を審査して、一部を納めさせていたように記憶しています。現在では、どうなっているかは知りません。

 他の某弁護士会でも、そのような制度があるということを聞いています。

 

 沖縄弁護士会では、そのような制度は、少なくとも昨年くらいまでは、無かったと思います。

 

 

 弁護士費用の一部を納めさせる制度の問題は、例えば、直接に事務所に問い合わせをしていただいた場合などの通常の場合は着手金30万円で受任するような事件を、法律相談センターに納めることを勘案して、着手金35万円とするといったように、センター経由の依頼者に、納める分を上乗せした弁護士費用を請求することが想定されることです。つまり、上納分を依頼者に実質的に負担してもらって、なおかつ、そのことが見えにくいことになっているかもしれないということです。

 なお、法律扶助の事案(資力の無い人に弁護士費用を立替援助する場合)は、今のところ、事務手数料は掛かっていないそうです。

 

 

 弁護士は、民間の自営業者ですから、事務所の維持の経費や生活費を確保するために、受任する事件の弁護士費用もそれなりにシビアに算定します。

 本来であれば30万円の費用を見込めるところを、自分でセンターに納入する分を負担して、依頼者に通常の費用で見積もるとは限りませんし、期待できません。

 

 

 札幌弁護士会は、そのような上乗せの対応を望ましくないが関知しないという姿勢のようです。

 

 

 民間のサービスであり、弁護士費用の値決めは弁護士の自由です。弁護士費用まで弁護士会が決めるべきというのではありません。

 

 

 最も問題なのは、相談料は無料などと言っておきながら、依頼する場合にはもしかすると高めの弁護士費用が掛かる可能性がある制度だということが相談者に知らされていないことです。

  

 

 弁護士会(の担当の役職者)は、法律相談センターは人権擁護・社会正義の実現が主目的だなどと言っていますが、そういう制度にして相談者にデメリットを知らせないでおきながら、偉そうに人権擁護などと言える神経が私にはさっぱり分かりません。

 

 

 私は、次年度から法律相談センターに登録する予定です。こういうブログをあげていると、どういう扱いをされるか分かりませんが。

 

 

 

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イメージアップ広報のCM

 弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)に必ず加入していなければなりません。

 日弁連は、本来は、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とした法人です(弁護士法45条2項)

 

 その日弁連が、弁護士のイメージアップ広報のCMを作りました

 武井咲さんを起用したCMです。武井さんは、昨年から日弁連のポスターにも起用されています。

 そのCMがこちら。

 

 

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介護の問題についての本

東田勉『親の介護をする前に読む本』 (講談社現代新書)

 

 介護の問題は、家族に介護の必要がなくても、わが国の社会の問題として大事です。

 この本は、前半は介護の制度や介護サービスについての分かりやすい説明でした。

 

 後半は、医療の問題と死の問題です。

 

 介護を受けている人がどのように死ぬか、

ひいては、自分自身がどのように死ぬかを想像すると、

延命されて苦痛を長引かされるのは避けたいと思います。

 積極的に死に至る行為をする安楽死まではともかく、

少なくとも延命治療を止める尊厳死については、法的な整備を急ぐべきです。

 

 

 尊厳死の意思や手続について公的な確認手続をするのは実現が難しくても、

生前の意思確認や確認手続に法律家である弁護士を関与させることで一定の担保とすることは実現しやすいように思えます。

 

 

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”紅白歌合戦”で”投票価値の平等”を説明してみます。

 昨年末の第67回NHK紅白歌合戦では、視聴者投票等では白組の圧勝のようでしたが、

会場の特別審査員の投票結果で、紅組の優勝となりました。

 紅組司会の有村架純さんも結果に戸惑っているように見えました。

 

 

 NHKのサイトやニュース等によると、

視聴者審査(累積);ボール2個 

 紅組2,527,724票  白組4,203,679票

会場審査(双眼鏡で数えるやつでしょう);ボール2個

 紅組870票 白組1,274票

ふるさと審査員(実質6人);ボール1個

ゲスト審査員10名;ボール各1個・計10個

ボール合計15個

結果  紅組;計9個 白組;計6個

ふるさと審査員1個とゲスト審査員10個のボールの内訳は、紅組9個白組2個となります。

ふるさと審査員の1個が紅白どちらだったかは不明です。

 

 視聴者投票は累積だったり、視聴者投票や会場審査が結果として2票だったりしていますので、

投票価値の比較は正確には難しいところもあります。

 ただ、この結果を材料に、投票価値の平等について説明してみたいと思います。

 

 

視聴者選挙区(議員定数2名);選挙人数6,731,403人(2,527,7244,203,679

 →議員一人あたり選挙人3,365,701人

会場選挙区(議員定数2名);選挙人数2,144人(8701,274

 →議員一人あたり選挙人1,072人

ふるさと選挙区(議員定数1名);選挙人数6人

 →議員一人あたり選挙人6人

ゲスト選挙区第1区〜第10区(議員定数各1名);選挙人数各1人

 →議員一人あたり選挙人1人

 

 選挙人数というのは、選挙人(有権者つまり投票する人)の数です。

 上記のたとえでは、議員総数は15名、選挙人数(有権者数)は合計6,733,563人となります。

 

 ここで、投票価値の重い選挙区つまり1票の価値が重い(議員一人あたりの選挙人数が少ない)のは、ゲスト選挙区第1区〜第10区の各選挙区です。

 このゲスト選挙区の1票の価値に比べると、

ふるさと選挙区の1票は、約0.16票の価値しかないことになります(議員1名÷選挙人6人)。

 会場選挙区の1票は、約0.00015票の価値しかないということになります(議員1÷選挙人1,072)。

 視聴者選挙区の1票に至っては、約0.00000029票の価値です(議員1÷選挙人3,365,701人)。

 

 

 紅組党と白組党の2つの政党が各選挙区に立候補者を立てているとします。

ゲスト選挙区の10選挙区のうち、8選挙区が紅組党、2選挙区が白組党が勝ち、

ふるさと選挙区では紅組党が勝った(紅組支持6人・白組支持0人)とすると、

白組党は、4,204,955人(4,203,679+1,274+0+2)の支持を得たのに、6人の議員しか選出できず、

他方で、

紅組党は、2,528,608人(2,527,724+870+6+8)の支持で、9人の議員を選出して、

15人の総議員の過半数を得たことになります。

 つまり、少数の支持しか得ていない政党が議会で過半数を得てしまう結果になりかねないのが、

投票価値の不平等の選挙区割りということです。

 

 

 紅白歌合戦は、イベントですから、テレビに映るゲスト審査員と視聴者の投票価値が不平等なのは、

仕方のないことなのかもしれません(ただ、あまりに差がありすぎるとコンテンツとしても面白味に問題がでているでしょう。)

 

 しかし、現実の選挙(衆議院・参議院の選挙区選挙)では、上記のような極端な不平等ではないものの、

衆議院の小選挙区では宮城5区の1票に対して東京1区が0.46票だったり、

参議院の選挙区では、福井選挙区の1票に対して埼玉選挙区が0.33票だったりしています。

 そのような歪んだ選挙区割りは、温存されたままです。

 今の日本の国会が歪んだ選挙区で選出された議員で構成されているままであることに慄然とします。

 

 

 

 

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北海道コンテンツ法律事務所

弁護士 林 朋寛

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新年はじめにやること

 

 

 明けましておめでとうございます

 お健やかな一年をお過ごしください
 本年もどうぞよろしくお願いいたします
 
 さて、新年は、その年の計画を立てたりする方も多いでしょう。
 私も、実行できているかはともかく、計画を考えます。
 計画を漫然と立ててもあまり役に立たないと思いますので、計画の方法が大事でしょう。
 時間的なスケジュールは何かの本で読んだ方法で、3年間の月ごとの予定を立てる表を使っています。
 12段3行の36枠の表に、希望的なものも含めて目標のスケジュールを書き込みます。
 単純にA4の紙を36枠に折って使っています。(パソコンで表を作ればいいです話ですが(笑))
 なかなか3年間の計画・目標・希望を立てるのは難しいです。
 目標と期日、行動計画などを整理した表も有用です。
 沖縄にいた頃に、某社長に教えてもらったものです。
 元ネタは、株式会社LIGの記事です。
 
 目標達成のためにやるべきことの分析には、大谷翔平選手が高校生のときに使ったという目標達成用紙(曼荼羅チャート)が有用です。
 かなり分析が進みますけど、情報が細分化されるので、重要度や優先順位付けが悩ましくなります。

 計画を立ててみても、なかなか従来のやり方や発想から離れられず、今までと同じことの繰り返しになってしまいそうな気になります。

 

 自分ではまだ上手く使えていないのですが、山田壮夫『コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法』十字フレームでまとめる方法論が面白いです。

 

 

 

 どのようにかして何かの計画を立てても、実行しないと意味がありません

 1歩でも実行する年にして、依頼者のお役に立って、社会貢献できればと思います。

 

 

 

 

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写真家(著作者)の名誉・声望を害する行為

 12月27日に、次のニュースがありました。

長崎)写真家が県に抗議 石木ダム仮処分で写真無断使用

 

 長崎県の石木ダムの建設工事に関し、反対する土地所有権者らに対して長崎県が工事妨害禁止の仮処分命令を求めた事件で、写真集の中の写真が県の申立書類の中で使われていたことから、その写真を撮影した写真家が県に抗議して削除を求めたとのことです。

 申し立てた県(債権者)の提出した疎明資料(ざっくりいうと、仮処分手続での証拠資料のことです。)の中で、申し立てられた人(債務者)の特定に写真が使われたようです。

 その写真家の方は、自分の意図と違う使われたとして著作者人格権の侵害を主張されているようです。

(参照;写真家村山嘉昭さんのHP内の記事 ひとりの写真家として、長崎県知事に抗議文を出しました。

 

 

 このニュースを見て、私は、ツイッターで、次のようにつぶやきました。

 

著作権侵害でも著作者人格権侵害でもないのに、「無断使用」と問題あるかのように報道するのはどうか。 一般に、公表された著作物を利用するのに著作者の意図に縛られるべきではない。

 

 

 これがどういうことかというと、次のように考えられます。

 著作権の侵害の問題としては、著作権法で次の規定があります。

 

(裁判手続等における複製)
第四十二条  著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 

2  略 
 
 
 
  書籍を買わずに大量のコピーを作るなどでなければ、基本的に裁判手続で、他人の著作権を複製しても、複製権の侵害にはなりません。

 

 

 著作者人格権の問題としては、次の規定が本件で問題になりそうです。

 

(侵害とみなす行為)

第百十三条 

6  著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

 

 

 この、著作者の名誉又は声望というのは、社会的な・外部的な評価のことです。著作者の意図や心情ということではありません。

 著作者の社会的な評価を害する方法というのは、教科書的に言われるのは、芸術作品を風俗の広告に利用するなどの行為をいいます。

 裁判の手続に、写真を提出されたからといって、写真の著作者の社会的な評価が低下するとは考え難いです。実際上の問題としても、裁判に著作物が提出されたら著作者の評価が低下するといったことを裁判所自体が認めることはないでしょう。

 

 

 著作権や著作者人格権ではなく、一般的な人格権侵害の問題としても、

その写真家個人のお気持ちの問題ではなく、裁判で写真を用いたことが一般的に何かの人格的な利益を侵害している行為だとはいえなさそうです。

 写真家の方が、人格権侵害というのであれば、どういう客観的な利益が侵害されたのかを主張する必要があると思います。

 報道の自由の観点からの違法性を主張する構成もありそうです。

 

 

 私としては、裁判において、証拠資料に公表されている著作物が用いられることは、ことさらその著作者を攻撃する態様でなされている等でない限り、基本的に違法にはならないと考えます。世に出た著作物の利用は、著作権等で保護されている範囲以外は、受け手の自由であるべきと考えているからです。

 

 

 写真を用いたことについての問題はともかく、

今回、石木ダムの問題があることを知りました。今後も注目できればと思います。

 

 

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ブログ記事でリンク先が見えなくなっている箇所があります

 当ホームページのデザインを変更したところ、ブログ記事で外部のページなどにリンクしている箇所が、背景の色と同じになって、見えない状態になったところがいくつかあります。

 不自然に空白になっている箇所は、リンクしている文が見えなくなった箇所の可能性があります。

 

 ブログ以外のページでも同様の箇所があるかもしれません。

 

 お読みいただいて、不思議に思われた場合は、ご容赦くださいますようお願いいたします。

 

 

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大口の取引先の未収金

 中小企業の経営者から、主要な取引先の未収金を回収しづらいという話が出ることがあります。

 後々の取引を切られてしまうのではないかと心配になり、継続した取引の中で、未収金が生じていても、

支払を強く求めることができないようです。

 

 しかし、心配していても、支払してもらえることは期待できません。

 ただ、支払を意図的に遅らせているとは限りません。内部的な請求書の処理が遅れていたりして、取引先が支払すべきものと認識していない可能性もあります。

 先回りして心配していないで、まずは支払が遅れている代金があることを取引先に認識してもらうべきです。

 まともな企業であれば、未払の代金に相当する商品・サービスを受けているのであれば、その代金を支払うと思います。

 

 もし、認識しているのに代金を支払おうとしないのであれば、

たとえ重要な取引先でも、そのような相手との取引を継続するのは、利益が生じない取引が続くだけで将来性がありません

 そのような取引先との取引を早々に終了・縮小させて次の展開を考えないと、いずれ事業は行き詰まります。

 自発的に支払おうとしないのであれば、すみやかに法的回収をすべきでしょう。回収が遅くなればなるほど、回収できる可能性が小さくなります。

 下請代金法違反などの場合は、公正取引委員会に申告等をすることも検討したほうがいいでしょう。

 

 

 また、外部の事業者に発注をすることのある企業の経営者は、自社が不当に代金の不払いをしていないかについて、特に中間管理職をしっかり管理監督しておかれるべきです。

 不当な不払いをしている企業からは、まともな事業者は離れていってしまいます。気付いた時は、まともな協力企業がいなくなっていることもあり得ます。

 

 

 

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消費税の軽減税率対策の補助金

 私は、中小企業を支援する経営革新等支援機関の認定を受けています。

 今日、札幌市内で開催された、経営革新等支援機関を対象にした消費税軽減税率対策に関する研修会に出席してきました。

 

 平成31年10月1日に消費税の税率が10%に引き上げられます。

 この引き上げには、①酒類・外食を除く飲食料品、②週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)については、

税率が8%のままになります。

 税率が8%のままの消費税が掛かるのに、軽減税率と言うのは、多分に詐欺臭いです。

 

 消費税の税率が商品によって違うことになるので、事業者も消費者も、煩わしいことになります

 

 消費税増税への批判・不満をごまかすためにそんな面倒な制度にした、政府与党の不見識にはあきれるばかりです。

 

 

 そんな軽減(笑)税率の制度に対応、つまり2種類の税率に対応しなければならない事業者は、

レジのシステム等を新たに導入したり改修しなければならなくなります。

 そのような導入・改修のための補助金が用意されたそうです。

 自分で放火しといて消火するマッチポンプのような話です。

 補助金が出るといっても、必要なシステムの全額が出るわけではありません。

 

 実際に増税されてしまって、軽減(笑)税率が実施されてしまうのであれば、

事業者としては対応せざるを得ません。

 補助金が出るのであれば、事業者はもらえるものはもらっておくべきです。

 補助金のページを見て申請するか、今回のような研修を受けた経営革新等支援機関に相談してはと思います。

 

 

 国は、この軽減税率の制度や補助金について、経営革新等支援機関つまり民間が講演会などを主催してくれて、軽減税率に関する情報を広めてもらいたいと考えているようです。

 民間の活用と見るか、無責任な丸投げと見るかは、それぞれのご見識でしょう。

 今後は、経営革新等支援機関(税理士や中小企業診断士、金融機関、弁護士の中で認定されています。)が主催する講演会などがあるかもしれません。(講演会を主催すると補助金が出ます。)

 

 また、市町村などの主催で、軽減税率や補助金についての講習会が催されることもあるようです。

 (当事務所では、市町村などからの講演等のご依頼は、別件で相手方になっていなければ、お受けすることができます。

 

 

 わが国の将来の財政を考えて、消費税の増税という途をとるにせよ、

軽減税率(複数税率)という欧州で失敗したと言われている制度をわざわざわが国で導入する必要はないのです。

 そのようなおかしなことをする政権が早く退陣して、予定される軽減税率の導入が中止されることを願ってやみません。 

 

 

 

 

 事業者は税金を払うためにビジネスをしているわけではありません。国民は税金を払うために生きているわけではありません。

 税金の制度は、最小限かつシンプルであるべきです。

 

 

 

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志の高さを感じる本:『農業をデザインで変える』

長岡淳一・阿部岳『農業をデザインで変える: 北海道・十勝発、ファームステッドの挑戦』(瀬戸内人・2016年)

 

 書店で見かけて購入しました。

 十勝などの農家・酪農家にロゴマークなどをデザインしてブランド化している帯広市の会社の本です。

 写真が豊富で、眺めているだけで楽しい本です。

 

 観て楽しいだけではなく、地元の十勝の農業・農家をデザイン、ブランドの力で、広めて発展させていこうという著者たちのこころざしを感じました。

 

 

 デザイン・ブランドの力は、他者・外部だけではなく、農家本人やその従業員の誇りやモチベーションにも発揮されることが分かります。

 

 

 自社商品ではなく、地域をアピールするのに自腹でトレーラーのデザインを依頼した人の話なども感動します。

 

 

 ちょっと興味深いのは、この本が、北海道ではなくて香川県の出版社(株式会社瀬戸内人)が発行しているところです。ここにも何かストーリーがあったのでしょうか。

 

 

 

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『山口組顧問弁護士』

山之内幸夫『山口組顧問弁護士』(2016年・角川)

 

 山口組の顧問弁護士だった弁護士の手記です。

 作者は、昨年の有罪判決確定で弁護士資格を喪失しています。(この立件については問題あるのではないかと思っています。)

 

 なまじのフィクションよりも面白い生々しさがあります。

 ヤクザになる人の哀しさとともに暴力団の恐ろしさも具体的です。

 

 東映と徳間書店と山口組の関わりなんて、今どきこんなにはっきり書いて大丈夫なのかなと、一読者なのに心配にもなります。

 作者は、もう何も気にしない境地に至っているのかもしれません。

 

 

 

 同書でも指摘がありますが、現在は、住居の賃借や不動産や自動車の売買、銀行口座の開設や、レジャーなどで、

暴力団の組員やその家族は、相当の制限を受けています。

 

57p「いくら何でもヤクザに対する法の運用は不公平極まりない。警察はイケイケで無茶苦茶な法解釈をしてもある程度仕方ないが、検察官や裁判所まで調子に乗って法を歪めていたら将来に禍根を残す。

 

 この指摘には同感です。国家の法の運用の正当性を確保するためにも、全ての人の自由を保障するためにも、例外なく公正・平等な法の解釈適用がなされなければなりません。

 弁護士や弁護士会あるいは、自由や人権を大事に考えている人々から、暴力団員等への扱いについて批判がもっと出るべきではないかと思います。現実にはそうなっていませんが。

 暴力団員への社会生活上の制限は、ニーメラーの詩(「彼らが最初共産党を攻撃したとき」)の状況にも通じるものがあります。

 違法不当な行為をした場合は、その行為について誰しも法的責任が厳しく問われるのは当然です。しかし、ある立場にあることだけで不利益を与えるようなことは、法の下の平等にも反するものでしょう。

 

 こういったことも考えてしまいますが、

本書は、ヤクザの世界を垣間見せてくれるエンターテインメント作品としても楽しめます。

 

 

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詐欺の動画(神奈川県のサイト)

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法律相談の申込み方など

 前回までのブログで、弁護士の探し方弁護士の選び方について書きました。

 初めて法律相談する場合は、弁護士のところに連絡とるのも緊張してよく分からないという方もいます。

 

 

 法律相談の申込は、電話で結構です。

 探した法律事務所(弁護士の事務所のことを法律事務所といいます。)や弁護士、弁護士会の法律相談センターには、ホームページなどに電話番号が書いてますから、

その電話に掛けて、法律相談をしたい旨を伝えれば、いつ行ったらいいか等を案内してくれると思います。

 電話が24時間対応というのも少ないでしょうし、営業時間外に電話しても出ないかもしれません。

 

 

 電話での申込が難しくても、多くのサイトでは、問い合わせフォームが用意されています。

 問い合わせフォームは、時間に関係なく送ることができます。(問い合わせを受ける側は当たり前に思うかもしれませんが、問い合わせフォームの送信も営業時間内でないとならないと思う方もいます。)

 

 私としては、お電話で申込されるよりも、できれば問い合わせフォームを利用してもらいたいです。

 連絡先を残してもらえますし、ご相談内容を、まずはご自分で整理してもらえるので、その後の相談がスムーズに入ることができるからです。

 

 

 法律事務所に予約をいれずに行くのはお勧めしません。弁護士の予定が空いているとは限りません。また、法律事務所は色々と難のある人も押しかけてくるおそれもあるので、突然の来訪者は警戒されます。

 

 

 

 法律事務所に、問い合わせフォームか電話で連絡を取って、法律相談の予約をして、法律相談の準備をしてもらった方がいいです。

 準備は、相談当日に持参する書類等の確認です。

 契約についての相談なら契約書、不動産の問題なら全部事項証明書(昔で言う登記簿謄本)などの、相談したいことに関係する手持ち資料の用意です。

 また、口頭で説明するのは普通は慣れていないと思いますので、事実関係を時間順にしたメモなどを作成しておくと良いと思います。

 

 以前に作った動画です↓ 御参考まで。

 

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弁護士の選び方

 前回のブログで弁護士の探し方を書きました。弁護士の情報を集めた後は、どのように選べばいいのかが問題になるでしょう。

 

 結論としては、実際に会って話してみて、説明が親切で分かりやすいかどうかといった相性で決めるのがいいのではないかと思います。

 

 

 

 次のような点は、あまり弁護士を選ぶ基準としては実際は役に立たないと思います。

 

【専門の弁護士かどうか】

 弁護士の専門は何かとか、実績がどうかということが気になるかもしれません。

 しかし、弁護士の”専門”や”実績”は、弁護士ではない方に判断は難しいと思いますし、弁護士でも自分あるいは他の弁護士の”専門”や”実績”を評価するのは容易ではないと思います。

 弁護士でない方は、ご自身の仕事の分野をその分野の人でない人が専門や実績等を評価することは難しいということは想像できるのではないでしょうか。同様に、弁護士の専門の有無や程度は、弁護士でない人には分からないと思います。

 

 

 また、弁護士は、弁護士会の広告の規制によって、”専門”の表示ができないことになっています。

 そのため、弁護士のアピールとして、「●●に強い弁護士」「重点取扱分野」「注力しています」といった表現になっています。

 

 

 医師の専門医は、学会による認定によるようですし、専門認定をする機構による認定の制度が始まるようです。

 また、法令に基づく各種の指定医の制度もあります。

 しかしながら、弁護士には、学会が認定する”専門”や認定機関によるものはありませんし、指定医のようなものはありません。

 

 

 ●●法学会に属しているというのは、基本的に入会にあたり知識や経験の審査があるわけではありませんから、興味関心の深さは示せても、専門や実績があるかは別問題です。

 

 (ちなみに、私は、日本税法学会と租税訴訟学会に入っています。)

 

 

 ネットやCMでは、何かの専門(債務整理や過払金の専門、離婚専門、交通事故専門、企業法務専門など)をうたう弁護士がいます。

 同業から見ても、専門をうたってもおかしくない弁護士はいますが、専門を自称している弁護士が同業者の弁護士から見て、専門というに足りる仕事をしているかというと疑問なところも少なくありません。

 

 

 理系の知識が必要になるような知的財産の案件や、外国語や外国法の知識が必要になる案件などは、そういった案件を扱える事務所に依頼すべきではあります。そういった案件が、普通の弁護士のところに相談で持ち込まれたら、まともな弁護士であれば依頼を断って、そのような事務所を探すように言うでしょう。

 

 

 

【経験豊富かどうか】

 弁護士としての経験が豊富(経歴が長い)とか、特定の事案の経験があるかといった点も相談者としては気になるところかもしれません。

 確かに、ベテラン弁護士だと、事案の解決への期待や依頼者の気持ちに寄り添ってくれるのではないかという期待が生じるのは分かります。

 しかし、これもご自身のお仕事の分野に比べて考えていただければお分かりいただけるかと思いますが、

経年により仕事の経験はしていてもダメな人は必ずいるものです。長年の経験で手抜き仕事に長ける人や、勉強をしない人はどこの世界にもいるでしょう。

 弁護士でも、ダメなベテランより、優秀な1年目の若手の方がきちんとした仕事をすることもあります。

 弁護士歴数十年で、内容も日本語もひどい書面を出してくる弁護士など、ざらにいます。

 

 

 ある事案の経験がなくても、法律の問題には基本的な思考が共通していますし、法令を調べ、書籍等に当たることで対応は可能ですから、研究を怠らない人であれば、怠惰なベテランより真面目な新人のほうがよほどマシです。

 ですから、弁護士を選ぶにあたり、あまり経験とかベテランかということにはこだわらないでいいと思います。

 

 

【有名かどうか】

 何をもって”有名”とするか分かりません。

 

 テレビなどに出ていることと、弁護士の能力はたぶん関係ありません。

 テレビによく出る弁護士は、演出として有能そうに見せられているのかもしれません。

 

 メディアに出ているかどうかではなく、何かの分野で有名かどうかということで気になさるのかもしれません。

 有名≒評判が良い 

というニュアンスなのでしょうか。

 そういった評判は、なかなか弁護士業界の外の方には分からないと思いますので、

有名かどうかというのも気にすることではないでしょう。

 

 

 

 いくつか気にされそうな点を挙げました。

 最初に述べたように、実際に相談してみて、相性の良いと感じる弁護士に依頼するのが良いと思います。

 

 どういった弁護士が自分にとって相性の良い弁護士か分からなければ、3人くらいの弁護士に相談して、比較的良いと思った弁護士に継続して相談・依頼をすれば良いと思います。

 

 一般論ですが、

・相談者の話を聞いてくれる(弁護士が話を決めつけない)

・専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく説明してくれようとしている

・弁護士費用などお金のことを明確に説明してくれる

といった弁護士が後々の不満も少なく、信頼していけると思います。

 

  私も こういった点は、少なくとも気を付けていきたいと思っています。

 

 

 

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弁護士の探し方

 遠方からのお問い合わせの結果、お近くの弁護士を探された方が良いのではというお答えになることがあります。

 そういった場合、どのように弁護士を探したら良いか悩まれる方がいます。

 

 弁護士を探す方法は、次のようなことが考えられます。

 

 

【誰かに教えてもらう】

 特定の弁護士を知っている人に教えてもらう方法があります。

 友人知人で弁護士に相談・依頼したことのある人がいれば、その人に教えてもらってり、

今では、FacebookなどのSNSで誰か弁護士を知っている人がいないかと情報提供を求めている人もいます。

 

 狭い意味の「紹介」として、きちんと紹介者が弁護士に相談したい人がどういう人かを伝えてくれる場合があります。

 そういう紹介をしないで、単に弁護士の名前を誰かに聞いてきたという意味で”紹介”という場合もあります。

 

 この方法でいいのは、その弁護士の情報や感想が具体的に得られるかもしれないというところです。

 ただ、都合良く弁護士を知っている人がいるとは限らないのが難点です。

 

 

【インターネットで検索する】

 グーグルやヤフーなどの検索サイトで検索すれば、弁護士(法律事務所)のホームページやブログなどがヒットします。

[ ●●(地域名) 弁護士]と言葉を入れて検索すれば自分の近くの弁護士を探せます。

 

 検索時に、自分の相談したい分野の言葉を入れれば、検索結果を絞ることができるでしょう。

 

 この検索結果の上位に出る弁護士が、弁護士を探している人にとって合った弁護士かどうかは分かりません。

 また、検索結果の上位に出るような対策(SEO対策)している事務所もありますから、検索結果と弁護士の実力等と関連性があるともいえません。

 

 検索した結果に出てくるホームページやブログに書いてある情報が多すぎたりして、迷ってしまうかもしれません。

 

 

 弁護士会の検索ページで探す方法もあります。

日本の全ての弁護士の登録情報は、日本弁護士連合会(日弁連)のホームページで検索することができます。

 日弁連の検索ページ

 

 また、日弁連では、ひまわりサーチというサービスに登録している弁護士を地域や取扱分野で検索できるページを設けています。

 ひまわりサーチでの私のページもあります。

 

 日弁連の他に、各地の弁護士会のホームページでも所属会員を検索できるページを置いているところがあります。

 弁護士は、日弁連に所属する他に、事務所の場所を管轄する各地の弁護士会(地方裁判所に対応)に必ず所属しています。

 北海道には、札幌弁護士会、旭川弁護士会、函館弁護士会、釧路弁護士会の4つがあります。

 弁護士は全国どこでも活動できるので、たとえば旭川に住む方が旭川で起きたトラブルの相談を札幌の弁護士に依頼するといったことも可能です。ただ、近くの弁護士の方が距離的に相談しやすいでしょう。

 

 

 事業者のサービスとして、弁護士の情報提供しているところがあります。

 充分な質・量を提供していると思われるのは、弁護士ドットコムがあります。

 弁護士ドットコムでの私のページです。

 

 

 検索結果を見て探すのは、やりやすいでしょう。ただ、検索で得た情報は、広告の側面もあるのは留意された方がいいと思います。

 

 

【広告】

 テレビやラジオのCMや、雑誌等の広告に載っている情報で弁護士を探す人もいるでしょう。

 広告でのアピールは、「広告だから」という側面もあると思います。

 

 『●●の弁護士』のような書籍や雑誌の特集を見かけることがあるかもしれません。

 先日、某出版社が●十万円でそのような書籍に載せませんかという営業をしていることが東京の某弁護士のツイッターで明らかにされてちょっとした話題になりました(税理士など他の専門職でも同じような企画があるようです。)。

 出版社が情報をまとめた体で、実際は広告でしかない場合もありますので、そういった情報を鵜呑みにするのは気を付けた方がいいでしょう。

 

 今はあまり需要がない電話帳(タウンページ)で、近くの地域の弁護士を探す方法もあります。

 弁護士のページには広告も載っていますので、それを見て探す方法もあります。

 

 

【法律相談】

 弁護士会での法律相談センターや市役所等の法律相談に申し込んでみれば、その予約時間に担当した弁護士に出会うことができます。

 当然ですが、この方法だと、その法律相談センター等に入っている弁護士としか出会わないことになります。

 

 

【飛び込み】

 裁判所の周りなどに法律事務所が集まっていますし、自宅や職場の周りの生活圏に法律事務所の看板を目にするかもしれません。

 法律事務所に訪問して、弁護士に相談を求めるという方法もあり得ます。

 しかし、大抵の弁護士は、アポ無しで飛び込みで来られる相談者を警戒しますし、突然来られても面談できるタイミングとは限りません。

 飛び込みで訪れるのはお勧めできません。

 目に付いた法律事務所で相談してみるのであれば、

事務所名などから連絡先を調べて、電話して相談の日時の予約を入れるべきでしょう。

 

 

 

 

 弁護士を探すにも色々方法があり、一長一短がありますが、

弁護士を探す方は、ある程度の量の情報を得て検討されてはと思います。

 

 

 

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博多の陥没事故の記事

 弁護士ドットコムニュースに取材協力した記事が公開されています。

 

【博多駅前陥没】玄関前崩壊のセブンイレブンやシステム障害の銀行、補償はどうなる?

 

 この記事の中で、私は、注文者責任(民法716条)について説明しています。

 この点について、国家賠償法1条が適用されるから民法716条の適用は誤りだという指摘があったそうです。

 ご指摘の点については、私としては、国賠法1条の適用の可能性をわざわざ今の段階で否定するつもりはありません。

 ただ、JVへの指図・注文が国賠法1条の「公権力の行使」に該当するとするには、判例・通説と言われる広義説(私経済作用と国賠法2条の営造物の設置管理を除くすべての作用が「公権力の行使」とする説)からしても、苦しいのではないかと考えて、民法716条の適用としています。

 

 また、国賠法2条ではなく1条だという指摘もありました。

 しかし、道路もしくは建設中の地下鉄設備の問題となれば、国賠法2条の営造物の設置管理の瑕疵の問題になると考えます。

 上記の地下鉄工事の陥没が「公権力の行使」によるものだといえるだけの事実が出てくれば、国賠法1条の適用になってくるかもしれません。

 

 今回の事故の原因がどういったことなのかは、いずれ明らかになるでしょう。

 現時点の情報では、上記の記事のような整理となるかと考えています。

 

 

 

 もし、私が今回のような事故で損害を生じた企業・個人の代理人となって、損害賠償請求するのであれば、そのときに判明あるいは推測される事実に基づいて、国賠法でも民法でも適用できるもので法律構成して、市にも施工したJV(共同企業体)にも両方にがっちり請求すると思います。

 両方とも損害賠償の支払いを渋るようであれば、双方を被告として訴訟提起して責任の所在を明らかにするよりないでしょう。

 

 

国家賠償法

第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
 2  前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
民法
(注文者の責任)
第七百十六条  注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
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弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

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不服申立の教示の文字の大きさ

 個人でも法人でも、社会活動を営んでいる上で、行政機関(国や都道府県・市町村など)から行政処分を受けることがあります。

 その処分に納得がいかない場合、審査請求などの不服申立てをすることができます。

 行政機関の認定する事実が真実とは限りませんし、法令の解釈・適用が正しいとも限りませんから、納得できなければ国民の権利として不服申立てをすることは当然です。

 

 しかし、不服申立てをするにはいつまで・どのように申立をすれば良いか、そもそも不服申立てができるのかどうか、一般には分かりづらいことがあります。

 そのため、行政不服審査法82条で、行政機関は不服申立てができる旨と申立てる相手と申立ての期間を書面で、行政処分を受ける人にに教える(教示)義務があるとされています。

 

 ただ、実際にこの教示の書いている行政処分の決定書などを見ると、教示の部分がやたら小さい文字(5ポイント程度の場合もあるのではないかと思います。)で書かれています。

 それでは、不服申立てができることなどが書かれていても、読む気を無くさせたり、気付かせなかったりしてしまいます。

 

 

 ちなみに、訪問販売等を規制する特定商取引法施行規則では契約書面を8ポイント以上の文字で作成すべきこととされています。

 

 

 不服申立てができること自体が国民の権利ですし、不服申立てによって守られる権利・利益があるかもしれません。

 そのような国民の権利・利益を守るためにも、不服申立てについての教示はもっと大きな文字で記載されるべきです。

 

 気付きやすく分かりやすい教示を受けた上でこそ、国民の権利行使が可能になって、権利が保障されたといえると思います。

 その上で、手続や主張すべき法律関係や事実について弁護士に相談して言うべき時に言うべきことを主張すべきです。

 

 

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衆議院議員選挙の違憲状態判決(H27.11.25)と解散について

 衆議院の解散の話題が出ているようです。

 しかし、衆議院議員の小選挙区の区割は、憲法に違反したままです。

 

 現在の衆議院議員のうち比例区選出以外は、憲法という国の基本ルールに違反した選挙で選出された者です。

 そんな議員が最優先で取り組むべきであったのは、民主主義の国の基本として重大な選挙制度の改革でした。

 そのような改革がいまだにできなかった現在の議員・政党は、国政を預かる能力・資質を欠くというべきでしょう。

 また、法に違反する選挙で選出された議員が、TPPや憲法改正を論じるなど、国の将来を左右させるのは正統性を欠く不法な状況です。

 民主主義の国家として最優先で手を付けるべき選挙制度を放置したまま解散するなど、無責任の極みです。

 

 

 現在の衆議院議員の小選挙区の選挙平成26年12月14日施行)ついては、昨年11月25日の最高裁判所大法廷判決で、いわゆる違憲状態の判決が出ています。

 違憲状態判決というのは、

⑴選挙区割りは憲法違反

⑵でも、憲法違反を認識してから公職選挙法を改正するまで合理的期間はまだ過ぎていない

ので、まだ憲法違反ではないという判決です。

 つまり、選挙区割り自体は、憲法に違反しているのです。

 

 この最高裁判決では、

本件選挙区割りはなお憲法の投票価値の平等の要求に反する状態

であったとされています。

 合理的期間については、

憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っているとする当裁判所大法廷の判断が示されたのは,平成23年大法廷判決の言渡しがされた平成23年3月23日であり,国会においてこれらが上記の状態に至っていると認識し得たのはこの時点から

として、

平成23年大法廷判決の言渡しから本件選挙までの国会における是正の実現に向けた取組は,上記改正法の施行後に更なる法改正にまでは至らなかったものの,同判決及び平成25年大法廷判決の趣旨に沿った方向で進められていた

ということで、合理的期間はまだ過ぎていないとしています。

 

 

 

 違憲状態判決というのは、司法権を担う裁判所として、政治部門に遠慮をしたインチキ判決だと思います。

 普通の国民が何か法律に違反することをしても、その法律違反を解消するのに必要な時間が過ぎていないなどとして許されることはありません。

 上記のとおり、違憲性の認識が平成23年3月23日としてその間に取組をしていたから許してしまうというのは、わが国の国権の最高機関である国会に課されるべき責任のハードルが低すぎでしょう。

 国会議員に異様に甘い判決が違憲状態判決です。

 (それでも今の国会議員は、甘やかされた違憲状態判決でも、早々の改善をしません。)

 

 

 

 

 大法廷の判決は、結論が一致した「多数意見」の他に、多数意見に理由を付け加える「補足意見」、多数意見と結論が同じで理由の違う「意見」、多数意見に反対する「反対意見」が付くことがあります。

 

 反対意見は、国会に大甘の多数意見よりはまともですので、紹介します。

 大橋裁判官の反対意見は、国会の怠慢について厳しく指摘しています。

 鬼丸裁判官は、実質的な一人一票の保障について明言しています。

 木内裁判官は、選挙区の選挙人の人口が少ないところから選挙無効にするという国会にとってインパクトのある判決の方法を示しています。

 

 

大橋正春裁判官の反対意見】

 「本件選挙区割りによっても違憲状態が解消されたことにはならず,したがって憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったもので,本件選挙区割りは憲法の規定に違反すると考えるものであり,また本件では事情判決の法理を適用すべき事情はなく,本件選挙区割りに基づいてなされた本件選挙は本判決確定後6か月経過の後に無効とするのが相当であると考える。」

 

 「国会は,遅くとも平成23年大法廷判決の言渡しによって旧選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていると認識し得たのであり,合理的期間の始期は遅くても言渡しがされた平成23年3月23日ということになる。」

 「平成23年大法廷判決が指摘した違憲状態は,現在でもいまだ解消されていないことになる。」

 「平成23年3月23日から本件選挙施行日である平成26年12月14日まで3年8か月が経過しており,国会に認められた選挙制度の構築についての広範な裁量権や議員間で利害が激しく対立する選挙区割りの改正の困難性を考慮しても,3年8か月は国会が旧選挙区割りを憲法上の平等価値の原則に適合するものに改正するのには十分な期間である。したがって,本件では憲法上要求される合理的期間を徒過したものといわざるを得ない。」

 「本件選挙後の国会における是正の実現に向けた取組については,現在まで具体的な成果を上げているものでなく,現在までに既に4年8か月も経過していることを考慮すれば,合理的な期間が経過しているとの上記の判断を左右するものではない。」

 

 「平成23年大法廷判決から現在まで既に4年8か月が経過しているにもかかわらず国会による是正措置は実現されていないのであり,選挙人の基本的人権である選挙権の制約及びそれに伴って生じている民主的政治過程のゆがみは重大といわざるを得ず,また,立法府による憲法尊重擁護義務の不履行や違憲立法審査権の軽視も著しいものであることに鑑みれば,本件は事情判決により選挙の違法を宣言するのにとどめるべき事案とはいえない。

 他方において,選挙無効の効力を直ちに生じさせることによる混乱を回避することは必要であり,本件選挙は本判決確定後6か月経過の後に無効とすることが相当である。

 投票価値の較差の是正が困難であるのは,選挙制度構築の技術性や専門性に由来するものと利害関係の対立,特に直接の利害関係人である現職議員間の利害対立によるものとが考えられるが,国会はこれまで何度にもわたり衆議院議員総選挙の小選挙区選挙に関する定数是正を検討するための審議会等の組織を設置し検討を加えてきたのであるから,技術的・専門的な知識・経験を蓄積してきたものと考えられ,技術性・専門性が是正措置実現の大きな障害であるとは考え難く,主たる原因は現職議員間の利害対立にあるものと考えられる。しかしながら,本件は裁判所が違憲状態にあるとした本件選挙区割りの是正に関わるのであるから,憲法尊重義務を負う個々の議員だけでなく立法府として速やかにこれを是正する法的義務を負っているものといわなければならない。そもそも利害関係を調整して必要な決定を行うのが立法府の役割である以上,利害対立を理由に決定を避けることは許されない。」

 

 

鬼丸かおる裁判官の反対意見】

 「本件選挙時の選挙規定は憲法に違反するに至っており,本件選挙についてその違法を宣言することが相当であると考える。」

 

 

 「衆議院議員の選挙における国民の投票価値につき,憲法は,できる限り1対1に近い平等を基本的に保障しているものと考える。

 その理由は,両議院議員は,日本国憲法の前文,13条,14条1項,15条1項,44条ただし書に規定されているとおり社会的身分等により差別されることのない主権者たる国民から負託を受けて国政を行うものであり,正当な選挙により選出されることが憲法上要請されていると解されるところにある。特に衆議院議員を選出する権利は,選挙人が当該選挙施行時における国政に関する自己の意見を主張するほぼ唯一の機会であって,国民主権を実現するための国民の最も重要な権利であるが,投票価値に不平等が存在すると認識されるときは,選挙結果が国民の意見を適正に反映しているとの評価が困難になるのであって,衆議院議員が国民を代表して国政を行い,民主主義を実現するとはいい難くなるものである。以上の理由により,憲法は,衆議院議員選挙について,国民の投票価値をできる限り1対1に近い平等なものとすることを基本的に保障しているというべきである。

 ところで憲法は,両議院議員の定数,選挙区や投票の方法等その他の両議院議員の選挙に関する事項を法律で定めると規定している(43条2項,44条,47条)のであるから,国会が上記事項を決定するに当たり立法裁量権を有することは予定されているところであるが,私は,国会が立法裁量権を行使して両議院議員選挙制度の内容を具体的に決定するに当たっては,憲法の保障する投票価値の平等を最大限尊重し,その較差の最小化を図ることが要請されていると考える。しかし,国会が配慮を尽くしても,人口異動による選挙人の基礎人口の変化や行政区画の変更といった社会的な事情及びその変動に伴ういわば技術的に不可避ともいうべき較差等が生ずることは避け難く,このような較差は許容せざるを得ないものである。したがって,投票価値の較差については,それが生ずる理由を明らかにした上で,当該理由を投票価値の平等と比較衡量してその適否を検証すべきものであると考える。」

 

 「選挙区間の人口較差を2倍以内とすることに終始した本件選挙区割りは,憲法の要求する1人1票に近い投票価値の平等に反するものであるといわざるを得ない。」

 

 「国会が平成23年3月23日に投票価値の平等に反する状態にあることを認識し得てから本件選挙までの間に,3年8か月が経過した。これは,衆議院議員の1期分の任期にほぼ等しい期間である。その一方で,同日以降に衆議院において少なからぬ法案が可決されてきた状況に照らすと,期間の長短のみならず是正のために採るべき措置の内容,そのために検討を要する事項,実際に必要となる手続や作業等の考慮事項を総合考慮しても,国会が司法の判断の趣旨を踏まえて適切に衆議院議員の定数配分や選挙区割りの是正に取り組んだならば,上記期間内に,憲法の投票価値の平等の要求するところに沿った定数配分や選挙区割りの是正を行うことは可能であったろうと考えるものである。

 衆議院議員の定数配分や選挙区割りの見直しについては,種々の論議があることは容易に想定できることであり,また国会内の合意を得て見直しができるのであれば,それが最も望ましいことであることについては,私も何ら疑念を持つものではない。けれども,どのような法案であっても問題への対応や合意形成に困難がないということは少ないのであり,また全ての法案が国会の合意形成を得て成立するものではないことはいうまでもない。国会は,国民を代表する両議院の議員が論議を交わし一定期間論議した後に多数決の原理に従って議決し立法に至るという代表民主制を具現する場である。衆議院議員の定数配分の見直しや選挙区割りの改革等に関する事項に関しては国会の合意形成を要するとする憲法上の要求はないのであるから,他の立法と異なる取扱いをすることは相当ではないと考える。

 一方,当裁判所の大法廷判決において既に2度にわたって,衆議院小選挙区選挙における投票価値の較差は憲法の要求に違反する状態であることを指摘され,これらの判決には国会が是正の責務を負う旨判示されていることに照らせば,是正は国会の急務であって,立法裁量権に配慮しても,合理的期間を緩やかに解することは許されるべきではないであろうと考える。

 以上のことから,憲法の予定している立法権と司法権の関係を考慮してもなお,本件選挙時には既に憲法上要求される合理的期間を徒過したものというべきである。」

 

 

 

木内道祥裁判官の反対意見】

 「国会が憲法上要求される合理的期間内における是正がされたか否かの判定は,国会が立法府として合理的に行動することを前提として行われるべきであり,既に平成23年大法廷判決において,違憲状態の主要な原因である1人別枠方式の廃止と新基準による選挙区割規定の改正という,行うべき改正の方向が示されており,改正の内容についての裁量権はこの範囲に限定されている。司法権と立法権の関係に由来するとされる事項は,事情判決の法理を適用すべきか否かの段階で考慮すべきことであり,合理的期間内の是正の有無の判定について考慮すべきではない。また,定数配分の見直しにそれ以外の政策課題が併せて議論されているというような実際の政策問題も,合理的期間内の是正の有無の判定について考慮すべきではない」

 「合理的期間の起算点が平成23年大法廷判決の言渡しがされた時点であり,本件選挙施行までの期間が3年9か月弱となる(この点は多数意見も同じである)ところ,平成23年大法廷判決,平成25年大法廷判決が憲法上の要求とした投票価値の平等の実現を阻害する1人別枠方式という要因の解消は,平成25年改正後の平成24年改正法による本件選挙区割りにおいても実現していない(このことは,既に,平成25年大法廷判決が示している)のであるから,本件選挙施行時点まで是正がなされなかったことが,合理的期間を徒過したものであることは明らかである。

 したがって,本件区割規定は,違憲の瑕疵を帯びるものである。」

 

 

 「投票価値の平等を害することを理由とする選挙無効請求訴訟についてなされた当審大法廷判決は,参議院議員通常選挙についての昭和39年2月5日のものを最初とし,18回なされている。この中で,いわゆる事情判決の法理が適用されたものは,昭和51年4月14日大法廷判決と昭和60年7月17日大法廷判決の2回であり,それ以外の大法廷判決の多数意見は,定数配分又は選挙区割り規定が違憲とされた場合の選挙の効力という問題については言及していない。しかし,①定数配分又は選挙区割りが違憲状態に至っているか否か,②その場合に,憲法上要求される合理的期間内における是正がなされなかったとして定数配分規定又は選挙区割規定が違憲となっているか否か,③その場合に,選挙を無効とすることなく違法を宣言するにとどめるか否かという3段階の判断枠組みが採られる中で,③の選挙を無効とするか否かは,この種の訴訟において,最も重みのある問題として意識され,その問題を念頭に,前段階の判断もなされてきたと思われる。」

 

選挙区割規定が違憲であるにもかかわらず,選挙が繰り返し行われるような場合に,裁判所は違法を宣言するのみで選挙を無効としない判決をただ繰り返すに終始することはできない。また,是正をなすべき合理的期間の幅を広げることにも自ずと限界がある。「選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合」(昭和60年7月17日大法廷判決)をできるだけ少ないものとし,選挙権の侵害を回復する方途を求める必要があるのである。」

 「私は,平成25年大法廷判決の反対意見において「一般に,どの範囲で選挙を無効とするかは,前述のように,憲法によって司法権に委ねられた範囲内において裁判所が定めることができると考えられるのであるから,従来の判例に従って,区割規定が違憲とされるのは選挙区ごとではなく全体についてであると解しても,裁判所が選挙を無効とするか否かの判断をその侵害の程度やその回復の必要性等に応じた裁量的なものと捉えれば,訴訟の対象とされたすべての選挙区の選挙を無効とするのではなく,裁判所が選挙を無効とする選挙区をその中で投票価値平等の侵害のごく著しいものに限定し,衆議院としての機能が不全となる事態を回避することは可能であると解すべきである。」と述べた。

 そして,平成26年11月26日大法廷判決の私の反対意見において「各選挙区における選挙人各人の投票価値平等の侵害の程度を考えると,選挙人としての権利の侵害の最も大きな選挙区は議員一人当たりの選挙人数の最も多い選挙区である。しかし,その選挙区の選挙を無効とした場合,投票価値の較差を是正する公職選挙法の改正が行われて再度の選挙が行われない限り,その選挙区の選挙人が選出する議員はゼロとなる。これでは,選挙を無効とすることが,当該選挙区の選挙人が被っている権利侵害を回復することにはならない。法改正により較差が是正されれば,選挙人の投票価値平等の侵害は解消されるのであるから,選挙を無効とする選挙区の選定に当たって考慮すべきは,法改正による較差の是正までの間の選挙人の権利侵害である。このような観点からすると,議員一人当たりの選挙人数が多いことによる選挙人の権利侵害は,その選挙人数の絶対数の問題ではなく,より選挙人数の少ない他の選挙区の選挙人との比較の問題であるから,議員一人当たりの選挙人数が最も多い選挙区の選挙人の権利侵害を著しくしているのは,議員一人当たりの選挙人数が少なくても議員を選出できる選挙区の存在であり,この選挙区の選挙を無効とすれば,残る議員についての投票価値の較差は縮小する。したがって,限定した範囲の選挙区の選挙を無効とすることによって選挙人としての権利の侵害を少なくするためには,議員一人当たりの選挙人数が少ない選挙区からその少ない順位に従って選挙を無効とする選挙区を選定すべきである。議員一人当たりの選挙人数の少ない選挙区の順に選挙無効とする場合,どの選挙区までを無効とするかは,憲法によって司法権に委ねられた範囲内において,この訴訟を認めた目的と必要に応じて,裁判所がこれを定めることができるものである(昭和60年7月17日大法廷判決の4名の裁判官の補足意見参照)。議員一人当たりの選挙人数が少ない選挙区からその少ない順位に従って裁判所が選挙を無効とする選挙区をどれだけ選定すべきかの規律は,選挙を無効とされない選挙区の間における投票価値の較差の程度を最も重要なメルクマールとすべきと思われるが,この規律は,いまだ熟しているということはできない。」と述べ,特定の選挙区の選挙のみを無効とすることは控えることとした。

 平成26年11月26日大法廷判決は参議院議員通常選挙についてのものであるが,議員一人当たりの選挙人数が少ない選挙区からその少ない順位に従って選挙を無効とする選挙区を選定すべきであることは,衆議院議員小選挙区選挙についても同様に当てはまる。前回平成24年12月16日施行の衆議院議員選挙については,私は,区割規定を違憲とし,いわゆる事情判決の法理を適用して違法を宣言するにとどめたが,今回の衆議院議員総選挙は,従来の選挙区割りを基本的に維持して行われたものであり,その全てについて違法の宣言にとどめることはできない。

 裁判所が選挙を無効とする選挙区をどれだけ選定すべきかの規律は,従来3段階の判断枠組みの第一段階である選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態(違憲状態)に至っているか否かの判断基準とは性質が異なる。選挙区割りが違憲状態か否かの判断基準は,区割規定(定数配分規定)が「全体として違憲の瑕疵を帯びる」(昭和51年4月14日大法廷判決,同60年7月17日大法廷判決)か否かについてのものであり,その区割基準が投票価値の平等に反するものか否かが重要であり,一律に較差の一定数値によって定めることは,それに達しない不平等を無条件に是認することとなり,不適切である。これに対し,ここで問題となる無効とする選挙区の選定の規律は,違憲判断の及ぶ範囲を一定程度制限するという司法権に委ねられた権能の行使についてのものである。

 具体的にどの範囲で選挙を無効とするかは,個々の選挙によって異なることは当然であるが,本件においては,本件選挙区割りによる295選挙区の選挙人数の違いが後述のとおりであることを考慮すると,衆議院としての機能が不全となる事態を回避することと投票価値平等の侵害の回復のバランスの観点から,投票価値の較差が2倍を超えるか否かによって決するのが相当である。

 今回の選挙の結果によると,295の選挙区のうち最も選挙人数の少ないのは宮城県第5区(選挙当日で23万1081人),最も選挙人数の多いのは東京都第1区(選挙当日で49万2025人)であり,その比率は1対2.129である。選挙人数が東京都第1区の選挙人数の2分の1を下回る選挙区は,宮城県第5区以外に11あり,少ない順に挙げると福島県第4区,鳥取県第1区,鳥取県第2区,長崎県第3区,長崎県第4区,鹿児島県第5区,三重県第4区,青森県第3区,長野県第4区,栃木県第3区,香川県第3区である。

 

 したがって,この12の選挙区については選挙無効とされるべきであり,その余の選挙区の選挙については,違法を宣言するにとどめ無効とはしないこととすべきである。この12選挙区について選挙が無効とされると,その選挙区から選挙人が選出し得る議員はゼロとなるが,これは,選挙を無効とする以上やむを得ないことであり,較差を是正する法改正による選挙が行われることにより回復されるべきものである。」

 

 

 

 

 

 

 

ナチス”風”衣装の問題

 アイドルグループの欅坂46のライブの衣装がナチスの制服に似ているということで、アメリカのユダヤ系人権団体が謝罪を求め、レコード会社やプロデューサーが謝罪して、公開されていた画像を削除したというニュースがありました。

 

 この件で、疑問なのは、大きく次の点です。

1 ナチスのに衣装が似ているというのは、具体的にどういう点なのか

2 ナチスのに似ているだけで、なぜ許されないのか

 

 1の疑問について、ツイッターでつぶやいていたところ、どうやら帽子の標章が問題らしいという話があります。

 ニュースで出ていた画像を見ても、どの辺がナチス”風”なのかよく分かりません。

 ナチスの鉤十字(ハーケンクロイツ)なら、ナチスのマークかなと素人目にも分かるでしょう。

 しかし、今回の件は、どういうところのデザインがどういう基準でナチスっぽいのかよく分かりません。

 誰か(特に声の大きなところ)が●●●風と決めつけたら、客観的な議論を無視してそれが通るということにもなりかねません。

 

 2の疑問については、ナチスの問題は、ホロコースト等の行為の問題なのかと思います。

 とすれば、そういったナチスの行為を肯定、賛美するためにナチスのデザインを使ったというのであれば非難するというのも分かります。

 しかし、そういう意図が読み取れるのではなく、単に衣装がナチスっぽいというだけで謝罪というのは主張に飛躍があるやに思えます。

 また、ホロコーストの遺族・生存者が見たらナチスのことを思い出すといったことを言われているようですが、それが根拠なら、欅坂46がヨーロッパ進出した際にでも、現地で問題視するなり議論するなりすればいいことでしょう。

 

 

 

 力のある団体の言うままに、客観的な分析や検証もないまま謝罪や非難がなされている社会状況がむしろ怖いです。

 

 

 

 

投票価値の不平等による歪み

 今年7月の参院選挙の選挙区選挙について、投票日の翌日に投票価値の不平等を主張した選挙無効訴訟を提訴しています。(7月12日のブログ

 広島高裁岡山支部の判決を皮切りに各地の高等裁判所・支部で判決が出始めました。

 札幌高裁の判決は11月2日です。

 

 投票価値の不平等による歪みの一つの例として、上記のブログ記事で次のことを指摘しました。

 

 

 福井県選挙区の当選者の獲得票数は、217,304票でした。

 北海道選挙区の次点(落選者)の獲得票数は、482,688票でした。その次の落選者は239,564票でした。

 福井の1票に比べて最も投票価値の軽い埼玉県選挙区では、次点486,778票、その次228,472票でした。

 

 投票した有権者数が少ない者が当選し、多い者が落選しています。

 

 

 

 上記の指摘のように、他の選挙区についても見ると、

東京都選挙区(改選数6)の次点469,314票、次が310,133、さらに次が257,036票でした。

沖縄県選挙区(改選数1)だと、次点は当時の沖縄北方相の現職大臣ですが、249,955票でした。

 

 もちろん、選挙区ごとに改選数や立候補者数、有権者の投票率も異なりますので、当落ラインはそれぞれで異なるでしょうから、単純比較が直ちに正しいわけではないでしょう。

 しかし、福井県の倍以上の支持を得た北海道の次点の候補者や東京都の候補者が落選している大きな原因は、

選挙区の投票価値の不平等が大きいでしょう。

 このような当落の結果になるような投票価値の不平等のある現在の選挙区割り・選挙制度の具体的な合理性については、これまでの選挙無効訴訟の判決の理由でも被告(選挙管理委員会。実質的には国)の主張でも何ら示されていません。つまり、得票数の多い候補者が落ちて少ない候補者が当選している現状を正当化する具体的な説明は誰もしていないのです。

 

 説明のつかない不合理な選挙区割り・選挙制度について、これから出される判決では選挙無効判決を下して断罪してもらいたいものです。

 

 

逮捕の必要

 前回のブログで取り上げたニュースの事案は、自分が被告人の刑事裁判の証拠を自分のブログに掲載したというものでした。その掲載した者を逮捕したということです。

 このような逮捕は問題だと思います。

 

 そもそも逮捕というのは、人を罰するためのものではなく、罪を犯した疑いという逮捕の理由と、証拠隠滅や逃亡のおそれという逮捕の必要がある場合に許される手続です。

 

 今回の件ですと、ブログで証拠資料の公開をしたという行為が刑事訴訟法違反の犯罪になるということですので、その行為を直接裏付ける証拠は警察において収集済みでしょうし、自分のブログで公開しているような者が逃亡するのかというのも疑問です。

 

 逮捕やそれに続く勾留は、警察による処罰の先行だったり、供述調書という捜査側の作文に署名をさせるために利用されている感が強いです。

 逮捕状を発付する裁判官が、身柄拘束というその人の生活・人生に重大な影響を及ぼす処分にもっと慎重に判断しなければならないでしょう。有罪の判決を受けていないのですから、有罪を推定して厳しい扱いをするような実情は不当だと思います。

 

 

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刑事訴訟法違反(開示証拠の目的外使用)の罪について

 北海道警の札幌南署が、自分が被告人となっている刑事事件(暴行)の裁判での証拠書類をブログに掲載したことが刑事訴訟法違反(目的外使用の罪)にあたるとして、その被告人を逮捕したとのことです。

 

 

 刑事裁判の手続を定めた法律である刑事訴訟法では、被告人や弁護人、これらの者であった者は、被告人となった裁判の準備等の目的以外に開示された証拠のコピーを他人に渡したり、ネットにアップしたりすることが禁じられており、違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金の犯罪に該当します。(条文は長いので、下にあげておきます。)被告人・弁護人であった者も対象ですから、裁判が終わった後も禁止されていることになります。

 

 この禁止の趣旨は、開示証拠がきちんと管理されてないと、証拠隠滅や関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるし、そのおそれを考慮すると証拠開示が限定されてしまうというものとされています。

 

 

 この禁止については、日弁連の会長声明で反対が表明されています

 

 私もこの刑訴法の禁止規定は反対で、すみやかな改正が望まれます。

 今回のニュースとなったように、被告人にも言い分があり、その見解を表明するのは、表現の自由として保障されるべきです。

 関係者の名誉毀損やプライバシー侵害については、開示証拠に限らず、刑事責任あるいは民事責任を問われることになりかねないものとされていますから、開示証拠に関して一般的抽象的に規制する合理性はないと思います。

 被告人の表現の自由の他に、報道機関としては、取材活動の自由の制限も問題となります。刑事事件の証拠資料という取材の資料を得るのを制限されることになるからです。そして、取材活動が制約されることで国民の知る権利も、反面として制約されると考えられます。

 警察・検察の捜査や公判活動も裁判所の裁判も国家権力の作用の一つです。どのような証拠資料に基づいて裁判がなされているのかを証拠資料に基づいて批判・検証する機会が奪われていることになります。

 もっともらしい禁止の理由(関係者のプライバシー保護など)を付けて、警察・検察あるいは裁判所に対する国民のチェックを免れるような規定は法改正で正されるべきです。

 

 

刑事訴訟法
第二百八十一条の四  被告人若しくは弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。
 当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理 
 当該被告事件に関する次に掲げる手続
 イ 第一編第十六章の規定による費用の補償の手続
 ロ 第三百四十九条第一項の請求があつた場合の手続
 ハ 第三百五十条の請求があつた場合の手続
 ニ 上訴権回復の請求の手続
 ホ 再審の請求の手続
 ヘ 非常上告の手続
 ト 第五百条第一項の申立ての手続
 チ 第五百二条の申立ての手続
 リ 刑事補償法 の規定による補償の請求の手続

 

 前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。 
第二百八十一条の五  被告人又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。以下この項において同じ。)又は弁護人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。 

 

 

 

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北海道コンテンツ法律事務所

弁護士 林 朋寛

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年金の支払いを拒否するか

 弁護士ドットコムニュースで、国民年金保険料の強制徴収の対象が、2017年度から年間所得「350万円以上」から「300万円以上」に広がることになった件で、コメントした記事が公開されました。

 

年金保険料の強制徴収「年収300万以上」に範囲拡大へ…どんな場合に対象になる?

 

 この記事の中では、

・年金が加入している者のための制度であるとすれば、国は、年金を支払うことのメリットをしっかりと証明すべき

・年金制度が破綻するとか、今のうちに支払った分の年金は将来もらえないとかの点の疑いを晴らすべき

・国民年金の積立金等を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、株価維持のために株式投資を増やしているとか、5兆円を超える運用損を出していると指摘された点について、問題ないことを明確にすべき

というコメントをしています。

 国は説明・証明すべきだとは思いますが、たぶんできないのでしょう(できるのなら既にやっているはず。)。

 無責任に他社のサイトで年金制度は破綻してますと断定したり、年金保険料の不払いを煽るわけにもいかないので、そこまでは言っていませんでした。

 

 

 年金制度が現在の40歳代〜若い世代によって、長期的に経済的なメリットがない制度だとして、不払いしていいかというと、それも困難な途です。

 年金保険料の不払いをして滞納処分(財産の差押え)を食らい、敗訴覚悟で裁判で争うというのも、自分ではまだ採れる方法ではないですし、他人にも弁護士としてはオススメし難いものです。

 もし、弁護士費用倒れになってもいいから年金制度の破綻・不合理を司法の場でも明らかにしたいという方がいれば、その際もよくよく打ち合わせをしないといけないでしょう。

 

 

 将来の自分の生活について年金の強制加入で介入されるのはそもそも幸福追求権(憲法13条)の侵害だとか、

高齢者の生活を支えるだけのような不合理な年金制度は思想良心の自由(憲法19条)の侵害とか、厚生年金と国民年金の制度は不合理な差別(憲法14条)だとか、財産を不合理に奪われて財産権(憲法29条)の侵害だとか、の憲法上の主張も考えられます。しかし、年金制度が破綻・不合理で憲法違反だということのできる裁判官がいるとはまだ期待できないでしょう。

 

 

 結局のところ、国の制度、政府・政治には期待できないので、

自分の将来の経済的なことは自分で固めておかないといけない状況なんだと思います。

 言うは易いのですが、実行できているかというと全くおぼつかないのが問題です…。

 

 

 

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内閣の衆議院解散権

 官房長官が、「解散は首相の専権事項だ。首相自身が一番タイミングがいい時に考える。」と発言したそうです。

 この発言内容は、大きな誤りが二つあります。

 

 

 まず、衆議院の解散権があるとすれば、首相(内閣総理大臣)にあるのではなく、内閣にあります。

 衆議院の解散は、憲法上で明文で定められているのは、内閣不信任案が可決された場合です。

 

 

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
 衆議院の解散は、国事行為として天皇が内閣の助言と承認に基づいて行います。
第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
     衆議院を解散すること。 

 

 内閣不信任案が可決された場合ではないのに衆議院の解散を認めるのは、内閣の助言と承認に実質的な決定権を認めて、現在では内閣に実質的な解散権が慣行上認められているからです。

 

 そして、その解散権は、内閣総理大臣ではなくて「助言と承認」を行う内閣に認められる権能です。

 内閣は、行政権を持つ合議制の機関です。

 

第六十五条  行政権は、内閣に属する。

 

 

第六十六条  内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
ただ、内閣総理大臣には、任意に国務大臣を罷免する権原がありますから、衆議院の解散に反対する大臣がいれば辞めさせることができます。
第六十八条  
 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。 
 反対する大臣を罷免できるから、首相に解散権があると言ってしまったり、首相に自由な解散権があると思い込んでしまうのは誤りです。
 解散権を行使するのは、内閣ですから、その合議を経て解散の是非を検討しなければならないはずですし、理由あって反対する大臣を罷免するプロセスには大きな政治的な意味が生じます(罷免に関しても総選挙等で問題になり得るでしょう。)。
 次に、首相が1番いいタイミングで解散できるという思い上がりが問題です。
 解散は、全国民の代表である衆議院議員全員の身分を奪い、国会を閉会して、総選挙を実施することになりますから、国民生活や政治に大きな影響のある行為であって軽々に行ってよいものではありません。
 首相の個人的な都合や与党に選挙が有利といったような思惑でする解散は不当であって、そのようなことを認めるような発言・態度は厳しく批判されるべきです。
 なお、現行の衆議院の小選挙区の区割は、憲法上の投票価値の平等の要請に反する状態です(最高裁判所平成27年11月25日判決)。この是正をしないまま、解散して総選挙を行うというのは、主権者国民の選挙権の価値を蔑ろにした無責任なものというべきです。
 その是正ができないまま選挙することになったのであれば、国会の無能を証明したものといえるでしょう。
 本来は、その無能の責任を取って、与野党の幹部、特に多数派を形成していた与党の幹部は政界引退すべき事態なんだと私は思います。

 

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象は「軽車両」か

 今年のミス・ワールドの日本代表は、日印のハーフで、象に乗る資格「象使い」の免許があるとのニュースがありました。

 そのニュースをリンクしてTwitterに載せたところ、

日本で象に乗るときは馬みたいに軽車両扱いになるのか

という旨の指摘を頂きました。

 

 

 道路交通法2条1項11号

軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。

 

 

 

 問題は、上記の道交法の「軽車両」のうちのその他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)の「牛馬」に「象」が含まれるのかどうかが問題になります。

 

 我が国で、象に乗ることに関して道交法の「軽車両」に象が該当するかどうか争われた事案があるかどうかについては、浅学ながら聞いたことがありません。事務所で導入している判例検索システムでも関連しそうな裁判例は見つかりませんでした。

 そもそも、我が国の道路を象が歩いているのを見たことも聞いたこともありません。

 

 条文の文言に忠実に解釈すれば、「牛馬」とある以上、牛でも馬でもない象は該当しないことになりそうです。

 しかし、法律は、必ず文言に限定して解釈しなければならないものではありません。

 「牛馬」とあるから、たとえばロバは該当しないのかというと、「牛馬」に含まれそうですし、鳥取県の砂丘の近くの道路にはラクダも歩いていそうですが(偏見に基づく想像です。)、ラクダも「牛馬」に含まれる軽車両の一つとなりそうです。

 ですから、ここでいう「牛馬」というのは道路を通行する動物の例示なのかと考えられます。

 道交法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律ですので、道路を通行する動物については「軽車両」に含めて規制しようとしていると思われます。

 そうなると、我が国の道路を通行しようという「象」も「軽車両」として道交法のルールに従って通行すべきでしょうから、軽車両の「牛馬」には「象」を含むと解釈すべきであるように思えます。

 

 かなり雑で簡略に検討してみましたが、現実に象が我が国を歩くことはあまりない(笑)かと思いますので、そんなに悩むことではないかと思います。

 (江戸時代に将軍吉宗の命で長崎から江戸まで象が来たそうですので、平成の世にも象が歩かないとは限らないですが。)

 

 

 もし、「象」が「軽車両」にあたるかどうか争っているとか、公道で象を歩かせたいのに行政指導に問題があるなどのご相談・ご依頼があれば、しっかりと調査検討の上で対応いたしますので、その際はお申し込みいただければ幸いです。

 

 

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ANAのトラブル対応

 8月12日の早朝に羽田空港のANAの国内線で、乗客から預かった荷物を搭載しないで出発するトラブルがありました。ニュース記事

 原因はベルトコンベアの故障だったようです。

 出発しないで飛行機を待機させることや後続便への影響を避けるために、荷物を全部あるいは一部を載せずに乗客だけ乗せて運んだそうです。

 運航約款には反していないそうですが、問題は、出発前に乗客に知らせずに、到着後に荷物が搭載されていないことを乗客に知らせた点です。

 出発前に知らせると、降りたいという客がいて混乱するという判断だったそうです。

 

 シビアな状況での瞬間的な現場の判断を後から批評するのはたやすいので、安易な批判は慎重になるべきです。

 しかし、搭乗してしまって降りるには困難な段階であっても、トラブルの情報は早めに報告するのが乗客への誠意ある対応であったかと思いますし、トラブルを知らされた乗客の感情も目的地に降りてから知らされるのとは違っていたのではないかと思います。荷物が搭載されずに遅れてしまうとしても、目的地に着いてしまってどうしようもない状況に置かれてから報告されるのでは、信頼を裏切られた気持ちが非常に強くなったのではないかと想像します。

 

 悪いニュースは早めに知らせるのがトラブルや悪感情を小さくする基本だと考えます。

 

 

 

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”簡易裁判”という裁判があるわけではないです

 FacebookなどのSNSでトラブルに巻き込まれたなどという投稿をお見かけすることがあります。

 その中で、”簡易裁判”がいいのかなどといったことをいう方がいます。

 

 しかしながら、「簡易裁判」はあっても、「簡易裁判」というものがあるわけではないです。なんとなく簡単に終わる裁判というイメージを持っているのかもしれません。

 

 通常の民事訴訟についていえば、簡易裁判所は、目的物が140万円以下の訴訟を扱います。140万円を超えるものは地方裁判所の管轄です。

 また、簡易裁判所の民事訴訟のうちで、60万円以下の金銭請求の訴訟について「少額訴訟」を選択して提訴することができます。すぐに取り調べのできる証拠書類や証人のいる事案で、原則1回の期日で終わる手続です。裁判官の判断や相手方の異議によって通常訴訟になる場合があります。

 過失割合や損害額などで争いがありそうな損害賠償請求の事案では少額訴訟は向かないと思います。

 

 どういった手続が取れるのかなどは、弁護士に直接相談するのがいいと思います。

 SNSだと知ったかぶりして適当なアドバイスをする人や、弁護士は高いなどと言って早期の相談をためらわせる人、ひどいのになると違法な方法での対応を示唆する人などがいます。

 

 ほんとうに解決策を探しているのであれば、SNSで投稿などせずに、近くの弁護士(法律事務所)や弁護士会の法律相談センターを検索して相談の予約を入れるべきです。

 

 

 

『あたらしい憲法草案のはなし』と『憲法主義」

 参議院選挙の投票前にはあまり争点にされなかった憲法改正の動きが進むかもしれない状況です。

 自民党の憲法改正草案について解説した本はいろいろ出ていますが、自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合(自爆連)の『あたらしい憲法草案のはなし』は、日本国憲法公布の翌年に文部省が製作・配布した『あたらしい憲法のはなし』の秀逸なパロディーです。

 このあたらしい憲法草案のはなし』は、自民党の憲法草案が、立憲主義(憲法により国家権力を制限して個人の自由・権利を保障しようという考え)を否定しようという意図が透けて、おかしさとともに恐ろしさを感じる名著だと思います。

 立憲主義や個人の自由・権利を憎んで、それらを否定する国にするのは国民の自由かもしれませんが、そのような国は、近隣にある一党独裁の国や祖父の代からの独裁をしている国みたいな国です。わが国が近隣にあるような独裁国家になってから後悔しても後の祭りでしょう。

 

 あたらしい憲法草案のはなし』を憲法の仕組みについてあまり知らずに読むと、皮肉をそのまま受け取ってしまうおそれがあります。

 憲法の仕組みについて、とても分かりやすく説明しているのが、内山奈月・南野森『憲法主義』です。ソフトカバー本が文庫本化していますし、読みやすいので、憲法改正の前に、多くの主権者国民に読んでもらいたい本です。憲法主義は、あたらしい憲法草案のはなし前に読んでおくべき本だと思います。

 

 

 


芸能界にも法の光を

 ネットのニュースで

能年玲奈 岩手県庁を訪問、改名後初仕事か 達増知事「お帰り」と大歓迎

 というのがありました。

 本名が能年玲奈さんが芸名を変えて「のん」さんとして活動せざるを得ないような状況については、色々と批判も聞くところです。能年玲奈さんが所属していた(あるいは所属している)芸能事務所とどのような契約あるいは交渉がもたれているのか・いないのかについては部外者には分からないことが多いです。しかし、本名で活動ができないというのは一般常識でも法的な観点でもおかしいと思うのが自然でしょう。

 能年さんが今後どのようにご活躍されるのか注目していきたいです。このニュースのように地方での活動も良い道かと思います。北海道でも活躍の場があればいいと思います。

 

 ところで、日本弁護士連合会(日弁連)のポスターは、今年は武井咲さんと起用しているのですが、1年契約のようです。

 来年は、能年さんが起用されてもいいのではないかと思います。

 

 

 日本の芸能界は、まだ契約がきちんと締結されていなかったり、契約書が作成されていなかったり、作成されていても問題のあるものだったりするようです。

 一般論として、所属の芸能人が売れるまでにコストが掛かるので、売れてから容易に独立等されるのは困るといった芸能事務所の側の言い分も分かります。

 ただ、一の大きな産業分野でもある芸能界がある種の”無法状態”では、人権の面でも経済的な発展の点でも問題だと思います。

 我が国の芸能界・エンターテインメントの世界にも、法的にバランスの取れた実務が広がるべきだと思います。

 

 

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芸能人のプライバシー権侵害について

 取材協力した記事が公開されました。

中森明菜さん「隠し撮り写真」掲載の出版社敗訴、芸能人プライバシー侵害の基準は?

 

 この記事の最後のところで、

もし仮に、他人のプライバシー権を侵害した賠償責任を上回る利益が見込まれるのであれば、報道機関の中に違法と認識しつつも、撮影・掲載を強行するところもあるでしょう。

 

 強行されるのは、侵害者の見込み利益を下回る金額でしか慰謝料が算定されないからです。そのような裁判所の算定が、そもそもおかしいのではないか」

 と述べています。

 

 これは、損害賠償責任を負っても雑誌が売れて儲かるのであれば民事的に違法な行為を出版社側は強行するおそれがあるということです。

 

 週刊誌1冊ごとに単純な計算は正確ではないでしょうが、説明のために言うと、

違法な行為でネタを集めて書いた記事を載せた週刊誌が通常よりも売れて、週刊誌の販売の売上や広告費などで通常より1000万円の利益が出るのであれば、

その違法行為で550万円の損害賠償責任を負っても、

結果として差し引きプラスの儲け(450万円)が出るなら、

違法行為を民事責任として(つまり経済的に)抑制することは難しいということです。

 

 

 日本の現在の不法行為責任の裁判所の考えでは制裁的損害賠償は認められていないですし、精神的苦痛の慰謝料請求の評価も抑制的です。

 制裁的損害賠償(実際の損害額の賠償責任に限らず、制裁として損害賠償の数倍の賠償責任を認めるというようなもの)は難しいとしても、

慰謝料の評価としては被害者にとって納得でき、以後の類似の違法な行為を抑制できる金額を認めるのはおかしくないでしょう。

 慰謝料というのは、被害者の被った精神的苦痛を慰謝する(なぐさめる)に足りる金銭ということですから、加害者に儲けが残るような金額で慰謝料として相当な金額だと評価するのは少ないと思うのです。

 

 

 弁護士としては依頼者への負担(印紙代や弁護士費用)を考えて、裁判所の相場を勘案して慰謝料請求の金額を控えめに評価しがちかもしれません。

 しかし、そういう実務感覚が一般の感覚(常識)に合うかどうかを常に留意して損害賠償事案を扱っていきたいと思います。

 

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戦争放棄条項が入った経緯・理由

日本国憲法 9条に込められた魂』(鉄筆文庫・2016年)540円

 この文庫は、我が国の憲法全文を載せて、付録として次の資料を掲載しています。

付録1 年表

付録2 ポツダム宣言

付録3 非核三原則

付録4 武器輸出三原則等

付録5 幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について

 

 付録となっていますけど、この本のメインは、

付録5 幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について

でしょう。

 この幣原先生というのは、幣原喜重郎のことで、敗戦後の昭和20年10月6日に昭和天皇の命で首相に就いて、現憲法の制定に携わった人物です。

 幣原から昭和26年に聞き取りしたメモに基づきまとめられ、昭和39年に公開されたものです。

 

 これを読むと、”押し付け憲法論”が実に浅薄な主張であると感じざるをえません。

 戦争放棄条項については、幣原ひとりの結果ではないでしょうが、歴史(過去)と未来を見据えつつ、現在(当時)の情勢をリアルに分析して、高い理想のもとで戦争放棄条項がまとめられたことが分かります。戦争放棄条項のある意味裏返しとして天皇制が守られて我が国の連続性が保たれたのでしょう。

 

 こんにち、憲法改正をウンヌンする前に読まれるべき資料だと思います(短いのですぐ読めます。)。

 

 

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大渕愛子弁護士の懲戒処分

 日本テレビ(北海道だとSTV)の行列ができる法律相談所に出演している大渕愛子弁護士が、所属の東京弁護士会から業務停止1月の懲戒処分を受けたとのニュースがありました。

 大渕弁護士は、処分後に会見を開いています

 会見を開いて説明しようとしたところ、逃げなかったところについては、ある意味ご立派だと思います。

 危機管理としても、逃げてしまうより会見をやった方がその後のバッシングも小さくなると判断したのだと思います。

 

 大渕弁護士の問題については、「大渕弁護士の言い分の謎と、弁護士に望むこと、私たちはどうすればいいのかについて。」(千田有紀)という論評がまとめてくれています。

 

 今回の大渕弁護士の懲戒対象となった行為について報道を見る限り正当な弁解はできなさそうですし、弁護士としてはかなり重い処分である業務停止になったことの軽重については報道では論評し難いです。

 大渕弁護士のことは置くとして、上記論評にもリンク先がありますが、大渕弁護士を使い続けてきた日本テレビをはじめ他のテレビ局の社会的な責任はどうなのかというのがもっと問われていいと思います。

 大渕弁護士の懲戒について日本テレビ等はどういうコメントをしているのか寡聞にして分かりません。

 弁護士会が懲戒する場合は、懲戒処分を決める懲戒委員会の前に、懲戒委員会に審査するのが相当かどうかを綱紀委員会が調査します。綱紀委員会が懲戒委員会に審査を求めた後もテレビ出演させていたテレビ局の判断はどういう理由からだったのでしょうか。追及されるべきところだと思います。

 

[大渕愛子弁護士のオオブチ大淵ではなく大渕でしたので修正しました。]

 

 

 

 ところで、私は、日本司法支援センター(自称法テラス)を全く支持も信用もしていませんので、発足した平成18年から一度も同センターと契約をしたことがありません。

 民事扶助にしろ刑事事件の国選弁護にしろ、同センターの手続や低額な報酬額などについての同業者の不満はしばしば目にします。

 同センターと契約している弁護士の不満は、もともと自分で契約している弁護士のまずは問題でしょう。

 しかし、利用者に対しても同センターの対応に問題がないかという点は気に掛かります。

 当事務所では、自称法テラスやその関係の弁護士・司法書士についての問題についてご相談をお受けします(当事務所の無料相談の対象でなければ有料相談となります。)。

 

 

 

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妻夫木夫妻で思い出した映画

 それぞれ俳優の妻夫木聡さんとマイコさんが結婚されたニュースがありました。

 妻夫木さんってまだ独身だったんですね。

 

 妻のマイコさんで思い出したのが、出演されていた映画『カフーを待ちわびて』です。

 私が沖縄で開く事務所の名称をカフー法律事務所としたので、レンタルして観たんですが、ほっこりする作品だった印象です。ちなみにカフーとは、漢字で「果報」で、カフーと沖縄読みしているものです。

 久々にまた観たく思いました。

 

 原作の小説も味わい良かったと思います。原作は確か、ラストは読者の想像任せだった記憶です。

 観たことない方は、原作→映画の方がいいかもしれません。

 

 

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シン・ゴジラ

 JRタワーの札幌シネマフロンティアシン・ゴジラを観てきました。

 

 巨大不明生物の襲来にも憲法下の法制による柔軟な対応で対処できていましたので、憲法改正・緊急事態条項は不要だと感じました(笑)。

 それはさておき、ゴジラやゴジラに対する戦いの迫力を堪能するには大きなスクリーンで観るべきでしょう。

 私は2時間前後も同じ椅子に座ったままでいたくないので、時々しか映画館に行かないのですが、今回のシン・ゴジラは公開後にツイッターの反応がすごいので早速行ってきました。

 今のところ動員1位のようですが、札幌の映画館はそれほど混んでいませんでした。

 

 怪獣のゴジラは出ますし、特撮映画として楽しめます。ただ、政治劇でもあり、細部までリアルな官僚機構や自衛隊の対応など、現実的な部分も見所満載です。

 甚大な被害を被った日本の復興についても強いメッセージを感じる映画でもあります。

 

 ネットなどでネタバレの情報に接する前に観に行かれるべき映画です。

 

 私はエヴァンゲリオンが大ブームの時に大学生だった世代なので、さすが庵野監督作品と感じ入りました。

 

 

 

美術評論家連盟のシンポ「美術と表現の自由」

 先日(7月24日)、東京都美術館で開催された美術評論家連盟主催のシンポジウム「美術と表現の自由」を聞いてきました。(ちょうど上京しているタイミングだったのと、東京都美術館で開催中の ポンピドゥー・センター傑作展ーピカソ、マティス、デュシャンからクリストまでー を観たかったところでした。)

 シンポについては、トゥギャッターでまとめがありますし、後日、文字起こしが公開されるそうです。

 

 職業柄、表現の自由(憲法21条)などについて論じるのを聞くのは弁護士や学者からのことが多く、法律家ではない立場の方の報告や見解をうかがうのはとても新鮮でした。

 それと同時に、うるさい法律家ではない分野の方から「表現の自由」を取り上げなければならないほどの危機感がある現在の日本の状況に改めて慄然としました。

 

 自由を守るには、今回のシンポのように、自由を制限しようという制度や対応や空気に対して抗う声をあげるといった不断の努力が必要だと感じましたし、自由や憲法は法律家のオモチャではないことも実感しました。

 

 

 文字起こしが公開されれば多くの人(法律家や美術関係者でない方)に見ていただきたい企画でした。

 ただ、過去の出来事についての報告は大変興味深かったのですが、もっと現在の状況についても報告・意見をいただきたいところでした。同連盟の今後の企画も期待しています。

 

 

 

早寝早起きに

 私はもともと”宵っ張りの朝寝坊”で、朝が苦手の夜型人間でした。

 

 先月、本屋でふと手に取った小山薫堂明日は心でできている』の109頁「日常の中で誰でもできる10の冒険」の中で 夜8時に寝て、朝3時に起きてみる というのが載っていました。

 これを見て、その日に8時に寝て3時に起きてみました。

 すると翌日がかなり長く密度の濃い日のように感じられました。

 さすがに毎日夜8時に寝るのは、社会人では難しいでしょうし、3時に起きるのもキツいです。

 それでも夜は10時前後に寝て、朝4時5時ころに起きるように朝型に変わりました。

 

 人間変われば変われるものです。

 

 今では、朝に開催しているイベントを探したりとか、朝のスタバに行ったりしています。先々月までは考えられない生活リズムになりました。

 

 

 それゆえ、当事務所では早朝相談(朝7時ころから)が可能になっています。

 

 

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都知事選報道と「知る権利」

 前職の知事の辞職により、この7月31日(日)に東京都知事選挙の投開票が行われます。

 立候補者は、これまで最多の21人だそうです。

 しかし、テレビ局や新聞社は、勝手に主要3候補と決めつけて、その3候補に関する報道ばかりをしているようです。NHKより民放の報道の方が偏っているようで、報道時間でいうとその3候補に97%、その他の候補(18人)には3%しか使っていないという分析もあるようです。

 

 今回の都知事選について、マイベストプロ北海道でコラム【都知事選が面白そう】を投稿しました。

 このコラムで言いたかったのは、全国民の知る権利を軽んじているということです

 都民の知る権利ではなく、全国民の知る権利ということです。

 

 地方自治は、その地域に限られずに他の地域・全国に波及します。

 我が国の首都・東京の知事を決める選挙は、誰が当選するかということもその公約や政策論争も、今後の我が国・他の地域に影響します。その選挙について、非常に偏った報道がなされるというのは、日本の全国民の知る権利(憲法21条)を報道機関が無視軽視しているといえると思います。

 新聞社がそのような偏った報道をしているのであれば、今後二度と、公平中立な報道をしているとか社会の木鐸などと偉そうに言わないようにしていただきたいものです。

 また、テレビ局は、公共の資源である電波を使用している以上、より公共性が求められるべき報道機関です。テレビ局が選挙民である東京都民に偏った判断材料しか提供せず、日本国民に充分な質・量の報道をしないのであれば、免許を返上してネット放送にでも事業変更してもらいたいと思います。(なお、ネットニュースでも偏向が言われている件があります。)

 

 報道機関には、表現の自由(憲法21条)がありますので、何を報道し何を報道しないか、どのように報道するのかを自由に決めて良いことは良いのです。しかし、特に、政治的な報道については、国民の側で選挙権などの適切な政治行動が取れる前提となる知る権利(情報を受領する権利)の裏返しとして、報道機関の表現の自由が保障されるものと考えられます。

 一般国民のために国家・社会があって国民の自由を保障しているのであって、国民あるいは社会のごく一部である報道機関のために国家・社会があり報道機関の自由を保障しているわけではないからです。

 

 

 今さらテレビ局や新聞社に何か期待するというわけではありませんが、一部の心あるマスコミ関係者に改めてもらってまずは残りの選挙期間の報道に改善が見られることを希望しています。

 

 

 

Q&Aサイトで法律問題を聞くことについて(続き)

 前回ブログの続きです。

 

 Q&Aサイトで質問をする場合、質問者の側で問題解決に繋がらないのではと思われる次のようなポイントがあります。

 

・質問者に不利益なことは意識的あるいは無意識に質問内容に書かない可能性がある。

・質問者が事実をきちんと整理して書くことができていない。

・質問者が思い込みで事実や資料と違うことを”事実”として書いてしまっている。

・質問が長すぎて、回答する側に読んでもらえない。

・不要な事実が多すぎて、回答する側に読んでもらえない。

・質問が抽象的すぎて回答が難しい。

・質問事項が複数で回答する側の負担が大きくて、任意で回答する側としては回答しないでスルーしがち。

 

 と、ざっとあげると以上のようになります。

 

 

 私が、Q&Aで質問を見ると、回答を待っているような状況ではなく早く近くの弁護士を探して実際に相談・依頼すべきものもあります。

 

 法律相談は、手元にある資料を見ながら、相談者からのお話をうかがいつつ、質問して事案や問題点を整理しながら、今すべき対応などを探っていく作業です。

 一方通行になりがち(できても数回のやり取り)でしかないQ&Aサイトでは、事案の整理や問題点の探求に限界があります。

 

 お近くに相談できる弁護士がいないという方は今はかなり少なくなってきていると思いますので、遠慮せずに弁護士の法律相談を申し込むのが悩みの解決にとって早いし確実だと思います。

 

 

 

〒060-0003 札幌市中央区北3西7 1-1 SAKURA-N3

北海道コンテンツ法律事務所

電話070-5530-0884

弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

http://www.sapporobengoshi.com

 

 

 

Q&Aサイトで法律問題を聞くことについて

 質問を投稿して誰かが回答するQ&Aのサイトがあります。

 そういったサイトで法的な問題についての質問・回答を見ていて思うことがあります。

 

 

 

(1) 回答者が主に匿名のサイト

 回答者が専門家ではない(専門家とは限らない)ので、その回答の正確性には何の保証も無いので、その回答を信用してしまうと危険なことがあります。

 そういうサイトだと、知ったかぶりで回答することで自己顕示欲などを満たしているに過ぎないような回答が散見されます。

 それに、そういった無料利用のサイトで専門家がわざわざ回答してくれることも期待できません(法律問題ではありませんが、名だたる専門家が複数回答してくれたというのでニュースになった件がありました。まれなケースだと思います。)。

 

 

(2) 回答者が誰か明らかなサイト

 少なくとも裁判関係で、弁護士ではない人(それらしい民間資格とかNPOとか、裁判を扱う権限のない●●●士とか)の回答は弁護士から見て誤っていることがあるのであまりアテにしない方がいいでしょう。

 

 弁護士が回答してくれるサイトもあります(私もそういうサイトで回答することもあります。)。問題は、広告目的で適当な回答を数多く投稿する弁護士アカウントも見られることです。回答者は弁護士でも”中の人”はその弁護士本人なのか疑わしい回答も見かけます。

 弁護士が回答していることになっていても、間違った回答がされている場合もあります。

 無料(あるいは低額)で気軽に利用できるメリットもありますが、無料・気軽な情報は特に玉石混淆であるデメリットもあります。

 

 

 質問者側の問題については、続いて書きます。

 

 

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北海道の漫画

 先日の北海道新聞のコラム(魚眼図)で松原仁公立はこだて未来大学教授が北海道が舞台の漫画を紹介していました。

 映画化の宣伝を見かけていた『僕だけがいない街』(全8巻)も北海道苫小牧も舞台になっているのを知りました。購入して読みましたが、展開が早くスリリングで面白いです。

 

 そのコラムでは紹介されていませんが、三田紀房『インベスターZ』も北海道の架空の中高一貫校が舞台です。

 その12巻では、北海道活性化のアイデアが出てきます。札幌中心でいると気付かない・言えないアイデアだと思いました。

 

 このブログを書きながら検索してみると先月に13巻が出ていたので、早めに読もうと思います。

 

 

 

車椅子の弁護士

 先日の北海道新聞の はいはい道新 で、札幌の弁護士で電動車椅子を使っている方の記事が載っていました(実家の母の切り抜きを見たので日にちは不明。)。

 車椅子で道路を渡るときにひっくり返り、通りがかりの多数の人に助けられたという話でした。

 

 私は、その弁護士をまだ存じ上げません。

 いつから車椅子を使っているのか存じ上げませんが、雪道になったらより大変な移動になるのでしょうね。

 

 

 ふと思い出したのが、福岡の弁護士で作家の法坂一広先生がブログでお怒りになっていたことです。

 ご病気で車椅子を使うようになっているようで、弁護士会や会館へのご指摘でした。(変換ミスなのかどこの弁護士会館の問題かはよく分かりません。)

 私自身は車椅子を使ったことがないので想像でしかないのですが、札幌弁護士会の会館も、あまり車椅子の方に便利そうには感じません。

 法坂先生のブログで指摘されている「障害者の権利に関する委員会なんかもあるはずなのに、身内のことさえ考えられないなんて、結局偽善じゃないのか。」ということが、札幌弁護士会でも言えるかどうか気になるところです。

 

 

  などと言ったものの、当事務所の入っているところは2階に階段を登っていただかないとならないので、全くバリアフリーではなくて申し訳ないです。

 

 

一人一票実現訴訟の提訴

 一昨日(7月10日)に実施された参議院議員選挙について、昨日、選挙無効訴訟を札幌高等裁判所に提起いたしました。

 NHKニュース北海道新聞などでも報道されています。

 

 選挙無効訴訟の形式上、北海道選挙区の選挙の無効を求めています。

 私の参画している弁護士グループでは、全45選挙区について8つの高裁(本庁)と6つの高裁支部の計14の裁判所に選挙無効訴訟を提起しています。

 私は、沖縄にいた平成21年(2009年)8月の衆議院議員総選挙の無効訴訟のときから参加しています。

 この選挙無効訴訟は、党派制のあるものではありません(そもそも2009年の選挙は民主党が勝って政権交代がなされた選挙です。どこが勝とうが負けようが、投票価値不平等の選挙はおかしいのです。)。

 

 選挙無効を求める理由は、選挙区ごとの一票の価値が不平等であるということです。

 今回の参議院議員選挙で議員1人あたりで最も選挙人数(有権者数)が少なかったのは福井県選挙区です。

 提訴では昨年9月2日時点の有権者数を基に計算して、福井の1票に対し北海道0.43票と表現しています。

 これは、次のように計算します。

 

福井の有権者数  644,447人、議員定数2(半数改選)

北海道の有権者数4,537,448人、議員定数6(半数改選)

 

議員一人当たりの有権者数

 福井322,224 北海道756,241(4,537,448÷6)

 

選挙区の有権者数の格差(較差)

 福井1に対して北海道2.347 (756,241÷322,224)

 

投票価値

 福井の有権者の1票に対して北海道の有権者の1票の価値は0.43票322,224÷756,241)

 

 

 こういった投票価値の不平等が放置されたままで選挙が行われると、

選挙区選出の議員の過半数を、

過半数に満たない国民の中から選出することになり、

全国民の代表として議員が行動する国会での議決が国民多数の意思あるいは支持、信任によるものといえるだけの

正統性を欠くことになるからです。

 別の観点でいうと、国民の多数の中から選出された議員が議会の多数派にならない選挙

間接的に民意を反映する議会を構成させる正当な選挙とは思われないからです。

 

 

 

 現在の投票価値の不平等の歪みは、次のような結果にも表れます。

福井県選挙区の当選者の獲得票数は、217,304票でした。

北海道選挙区の次点(落選者)の獲得票数は、482,688票でした。その次の落選者は239,564票でした。

福井の1票に比べて最も投票価値の軽い埼玉県選挙区では、次点486,778票、その次228,472票でした。

 投票した有権者数が少ない者が当選し、多い者が落選しています。

 

 もちろん、選挙区から1人を選ぶ小選挙区制と複数人を選ぶ大選挙区制の違いや、選挙区ごとの立候補者の数や投票率の違いがあります。しかしこのような差が生じているのはあまりに不平等です。

 

 

 

 参議院議員も衆議院議員も「全国民の代表」であって、都道府県の代表ではありません

 我が国は、都道府県の連邦ではありませんから、都道府県代表を選出する歴史的な根拠も無いです。

 あたかも都道府県の代表のように利益誘導を叫ぶ政治家(及びその政治家を議員にしてきた国民)が我が国を蝕んできたのだと思います。

 これまでの最高裁判例でも指摘されていますが、都道府県の区割にこだわっていては投票価値が平等の選挙区割りや選挙制度はできません。平成24年の公職選挙法改正のときに附則で平成28年の参議院選挙までに抜本的改正をすると決めたはずでしたが、まったく抜本的改正がなされませんでした。

 

 

 

 本当に選挙無効になったら国会がストップするのではないかと心配されるかもしれません。

 今回の選挙が無効となっても、参議院議員は比例代表で選出された議員と非改選の議員がいますから、その議員で構成する参議院と、衆議院で本当に抜本的な選挙区割りを最優先で早急に決めればいいのです。(暫定的にでも全国単一区での選出で再選挙でいいと私は思います。)

 

 

 

 今後、憲法改正を議論するのであれば、

現行憲法を遵守できるだけの倫理観と品位と知性のある者が議員であると同時に

選出される選挙に問題のない議員によってなされるべきです。

(衆議院も参議院もその選挙区選挙の区割そのものは憲法違反とこれまでの訴訟で判断されています。)

 

 少なくともまともな選挙制度での選挙が実施されるように、この訴訟を続けていきたいと思います。

 初回の口頭弁論期日は8月下旬か9月初めになると思います。初回期日で結審して、10月に判決が出ると思います。

 

 今後の報道等にご留意いただければ幸いです。

 

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一人一票の本

 浅利圭一郎『決めごとのきまりゴト 1人1票からはじめる民主主義』(2014年・旬報社)に、林のインタビューも掲載されています。

 

 今日(7月10日)は参議院議員選挙の投票日です。

 私は、7年前の衆議院議員総選挙の際から、一人一票訴訟に関わってきています。

 今回の参議院議員選挙についても選挙無効訴訟を提起します。

 この一人一票訴訟について、この本も参照していただければ幸いです。

 

 

 

選挙割に便乗します

続きを読む

MeetsRegional 8月号(7月1日発売)

 関西系の雑誌ですが、Meets Regional(ミーツ リージョナル) 2016年 08 月号に「県人に聞け」という連載があります。

 104〜105頁の見開きです。今回は、札幌市内の飲食店が紹介されています。

 この記事内の105頁の写真2枚に、林がお客さんとして写っています(青い色のジャケット)。

 ご覧頂ければ幸いです。

 

 

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Jリーグの選手への差別的書き込み

 弁護士ドットコムニュースに、林が取材を受けた記事が公開されています。

 ご覧頂ければ幸いです。

 

 

Jリーグ外国人選手に「人種差別的」投稿あいつぐ…どんな法的措置を取れる?

 

 J2長崎の選手へのツイッターの書き込みは、コンサドーレ札幌のハッシュタグが付いて投稿されたものだそうです。

 コンサドーレ札幌を貶める行為でもあり、長崎の選手と札幌の両方の点から責任が問われるべきでしょう。

 

 

 

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旧ブログから引っ越し

 平成20年(2008年)5月ころから、沖縄の地域ブログのサービスを利用してブログ↓を続けてきました。

 

http://bengoshi884.ti-da.net/

 

 

 このたび、事務所HPを開設し、ブログページも設置することにして、こちらで続けることにしました。

 

 

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