博多の陥没事故の記事

 弁護士ドットコムニュースに取材協力した記事が公開されています。

 

【博多駅前陥没】玄関前崩壊のセブンイレブンやシステム障害の銀行、補償はどうなる?

 

 この記事の中で、私は、注文者責任(民法716条)について説明しています。

 この点について、国家賠償法1条が適用されるから民法716条の適用は誤りだという指摘があったそうです。

 ご指摘の点については、私としては、国賠法1条の適用の可能性をわざわざ今の段階で否定するつもりはありません。

 ただ、JVへの指図・注文が国賠法1条の「公権力の行使」に該当するとするには、判例・通説と言われる広義説(私経済作用と国賠法2条の営造物の設置管理を除くすべての作用が「公権力の行使」とする説)からしても、苦しいのではないかと考えて、民法716条の適用としています。

 

 また、国賠法2条ではなく1条だという指摘もありました。

 しかし、道路もしくは建設中の地下鉄設備の問題となれば、国賠法2条の営造物の設置管理の瑕疵の問題になると考えます。

 上記の地下鉄工事の陥没が「公権力の行使」によるものだといえるだけの事実が出てくれば、国賠法1条の適用になってくるかもしれません。

 

 今回の事故の原因がどういったことなのかは、いずれ明らかになるでしょう。

 現時点の情報では、上記の記事のような整理となるかと考えています。

 

 

 

 もし、私が今回のような事故で損害を生じた企業・個人の代理人となって、損害賠償請求するのであれば、そのときに判明あるいは推測される事実に基づいて、国賠法でも民法でも適用できるもので法律構成して、市にも施工したJV(共同企業体)にも両方にがっちり請求すると思います。

 両方とも損害賠償の支払いを渋るようであれば、双方を被告として訴訟提起して責任の所在を明らかにするよりないでしょう。

 

 

国家賠償法

第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
 2  前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
民法
(注文者の責任)
第七百十六条  注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
【H28.3.1に札幌に移りました。】

〒060-0003 札幌市中央区北3西7 1-1 SAKURA-N3

北海道コンテンツ法律事務所

電話070-5530-0884

弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

http://www.sapporobengoshi.com

ブログ http://bit.ly/2eOFTn8