弁護士ドットコムニュースで、国民年金保険料の強制徴収の対象が、2017年度から年間所得「350万円以上」から「300万円以上」に広がることになった件で、コメントした記事が公開されました。
年金保険料の強制徴収「年収300万以上」に範囲拡大へ…どんな場合に対象になる?
この記事の中では、
・年金が加入している者のための制度であるとすれば、国は、年金を支払うことのメリットをしっかりと証明すべき
・年金制度が破綻するとか、今のうちに支払った分の年金は将来もらえないとかの点の疑いを晴らすべき
・国民年金の積立金等を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、株価維持のために株式投資を増やしているとか、5兆円を超える運用損を出していると指摘された点について、問題ないことを明確にすべき
というコメントをしています。
国は説明・証明すべきだとは思いますが、たぶんできないのでしょう(できるのなら既にやっているはず。)。
無責任に他社のサイトで年金制度は破綻してますと断定したり、年金保険料の不払いを煽るわけにもいかないので、そこまでは言っていませんでした。
年金制度が現在の40歳代〜若い世代によって、長期的に経済的なメリットがない制度だとして、不払いしていいかというと、それも困難な途です。
年金保険料の不払いをして滞納処分(財産の差押え)を食らい、敗訴覚悟で裁判で争うというのも、自分ではまだ採れる方法ではないですし、他人にも弁護士としてはオススメし難いものです。
もし、弁護士費用倒れになってもいいから年金制度の破綻・不合理を司法の場でも明らかにしたいという方がいれば、その際もよくよく打ち合わせをしないといけないでしょう。
将来の自分の生活について年金の強制加入で介入されるのはそもそも幸福追求権(憲法13条)の侵害だとか、
高齢者の生活を支えるだけのような不合理な年金制度は思想良心の自由(憲法19条)の侵害とか、厚生年金と国民年金の制度は不合理な差別(憲法14条)だとか、財産を不合理に奪われて財産権(憲法29条)の侵害だとか、の憲法上の主張も考えられます。しかし、年金制度が破綻・不合理で憲法違反だということのできる裁判官がいるとはまだ期待できないでしょう。
結局のところ、国の制度、政府・政治には期待できないので、
自分の将来の経済的なことは自分で固めておかないといけない状況なんだと思います。
言うは易いのですが、実行できているかというと全くおぼつかないのが問題です…。
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弁護士 林 朋寛
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