リーガルテックという新ビジネス分野

 法務(リーガル)とITinformation technology インフォメーション・テクノロジー)を掛け合わせたリーガルテックというビジネス分野が伸びているそうです。

 

 この分野では、もはや老舗といった感じの弁護士ドットコムは、株式上場しています。

 弁護士ドットコムのように弁護士の検索サイト・法律相談サイトは、出版社系のところなど他にもいくつか見られましたが、

弁護士ドットコムが先行者としてダントツのアクセス数・登録数でしょう。

 後追いで、司法試験予備校系だと思いますが、リーガラスというサイトがどのように差別化を図っていくのか気になるところです。

 

 弁護士の検索サイトは、離婚とか、交通事故とかの相談件数がそれなりに多くて、弁護士でない方でも問題の分野が判断しやすいものに特化した方がユーザーに利用されやすくて、生き残っていくような気がします。

 

 

 リーガルテックは、検索サイトだけではなく、弁護士やその他の士業に見積依頼をすることができるシェアーズというサイトもできています。

 検索だけではなくて、サービスを提供するところがニーズを掘り起こしていくのかもしれません。

 

 上記の弁護士ドットコムは、クラウドサインという契約書の締結に関する事務作業をクラウド上で行うサービスを提供しています。このサービスを事業の柱にするつもりなのか、このサービスを提供することによって契約書を大量に締結するような企業でITに積極的な企業を取り込んでいこうということなのか、同社の考えは分かりません。

 

 検索サービスではなくて、クラウドサインやシェアーズのようなサービスこそがリーガルテックという言葉で表される新しいビジネス分野のサービスなんだと思います。

 

 

 

 

 なお、法律問題に関するビジネスでは、利用者がつけ込まれて不利益を被らないように弁護士・弁護士法人でない者が法律事務を扱うことについて弁護士法の規制があります。これに違反すると犯罪になります。

 新しいビジネスは、規制の中でどのように進展していくか法的観点から知恵を絞る必要があります。

 

 

 

 

弁護士法

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

 

【追記】

 

 リーガルテックという言葉は、消されたデータ復元などのサービス分野でも、証拠収集に関わるサービスということで、使われています。紛争解決や事実の解明に役立つ証拠の収集や、証拠収集の過程が適法で後から検証できる(捏造でない)ものであることは、法的には重要になってきます。

 しかし、こういう分野は、法的サービスの需要に応えたり新たなサービスを広げたりということではなく、パソコンやスマホからのデータ復旧が法的手続の中で利用される場合の話なので、上記のビジネスの話とは違う話のように思います。

 

 

〒060-0003 札幌市中央区北3西7 1-1 SAKURA-N3

北海道コンテンツ法律事務所

電話070-5530-0884

弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

http://www.sapporobengoshi.com

 

ブログ http://bit.ly/2eOFTn8

 

 

 

 

法律相談センター経由の受任の上納金

 弁護士は、事務所のある場所を管轄する弁護士会に必ず加入しなければなりません(強制加入)。

 弁護士会は、地方裁判所に対応して置かれています(東京だけは3会あります。)。

 各地の弁護士会には、法律相談センターがあります。無いところは聞いたことがありません。

 

 札幌弁護士会にも法律相談センターがあります。

 札幌弁護士会の法律相談センターだけは、相談料(業界の相場としては30分5000円)が完全無料です。

 つまり、相談者の資力や相談の分野に関わらずに、相談は無料となっています。

(私は、弁護士会が無料相談をすることも問題と考えていますが、今回は置いておきます。)

 

 

 弁護士による法律相談では、様々な悩み・問題を相談して、相談だけで整理・解決される場合もあります。

 しかし、相談内容によっては、弁護士に依頼して交渉や訴訟をやってもらわないと解決できないものもあります。

 弁護士会の相談センターで相談を担当してくれた弁護士に引き続き依頼することができます。

 そもそも、弁護士会のセンターに来られる方は、他に相談する弁護士を知らないという方も少なくありませんから、

相談で担当した弁護士に依頼するのがある意味自然な流れになります。

 

 依頼する場合の弁護士費用(着手金・報酬金)は、その弁護士が提示したもので相談者がよければ、委任契約を結んで依頼することになります。

 問題は、この場合の弁護士費用についてです。

 法律相談センターで相談を受けた事件を受任する場合、受任する弁護士は、その着手金・報酬金から法律相談センターに一定割合を事務手数料として納めることになっています。

 

 

 このように弁護士が受任した場合の弁護士費用から弁護士会・相談センターに一部を納めさせるのは、札幌弁護士会だけの制度ではありません。

 私が東京弁護士会に所属していた10年ちょっと前では、東京弁護士会の法律相談センターが弁護士費用の金額を審査して、一部を納めさせていたように記憶しています。現在では、どうなっているかは知りません。

 他の某弁護士会でも、そのような制度があるということを聞いています。

 

 沖縄弁護士会では、そのような制度は、少なくとも昨年くらいまでは、無かったと思います。

 

 

 弁護士費用の一部を納めさせる制度の問題は、例えば、直接に事務所に問い合わせをしていただいた場合などの通常の場合は着手金30万円で受任するような事件を、法律相談センターに納めることを勘案して、着手金35万円とするといったように、センター経由の依頼者に、納める分を上乗せした弁護士費用を請求することが想定されることです。つまり、上納分を依頼者に実質的に負担してもらって、なおかつ、そのことが見えにくいことになっているかもしれないということです。

 なお、法律扶助の事案(資力の無い人に弁護士費用を立替援助する場合)は、今のところ、事務手数料は掛かっていないそうです。

 

 

 弁護士は、民間の自営業者ですから、事務所の維持の経費や生活費を確保するために、受任する事件の弁護士費用もそれなりにシビアに算定します。

 本来であれば30万円の費用を見込めるところを、自分でセンターに納入する分を負担して、依頼者に通常の費用で見積もるとは限りませんし、期待できません。

 

 

 札幌弁護士会は、そのような上乗せの対応を望ましくないが関知しないという姿勢のようです。

 

 

 民間のサービスであり、弁護士費用の値決めは弁護士の自由です。弁護士費用まで弁護士会が決めるべきというのではありません。

 

 

 最も問題なのは、相談料は無料などと言っておきながら、依頼する場合にはもしかすると高めの弁護士費用が掛かる可能性がある制度だということが相談者に知らされていないことです。

  

 

 弁護士会(の担当の役職者)は、法律相談センターは人権擁護・社会正義の実現が主目的だなどと言っていますが、そういう制度にして相談者にデメリットを知らせないでおきながら、偉そうに人権擁護などと言える神経が私にはさっぱり分かりません。

 

 

 私は、次年度から法律相談センターに登録する予定です。こういうブログをあげていると、どういう扱いをされるか分かりませんが。

 

 

 

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イメージアップ広報のCM

 弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)に必ず加入していなければなりません。

 日弁連は、本来は、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とした法人です(弁護士法45条2項)

 

 その日弁連が、弁護士のイメージアップ広報のCMを作りました

 武井咲さんを起用したCMです。武井さんは、昨年から日弁連のポスターにも起用されています。

 そのCMがこちら。

 

 

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介護の問題についての本

東田勉『親の介護をする前に読む本』 (講談社現代新書)

 

 介護の問題は、家族に介護の必要がなくても、わが国の社会の問題として大事です。

 この本は、前半は介護の制度や介護サービスについての分かりやすい説明でした。

 

 後半は、医療の問題と死の問題です。

 

 介護を受けている人がどのように死ぬか、

ひいては、自分自身がどのように死ぬかを想像すると、

延命されて苦痛を長引かされるのは避けたいと思います。

 積極的に死に至る行為をする安楽死まではともかく、

少なくとも延命治療を止める尊厳死については、法的な整備を急ぐべきです。

 

 

 尊厳死の意思や手続について公的な確認手続をするのは実現が難しくても、

生前の意思確認や確認手続に法律家である弁護士を関与させることで一定の担保とすることは実現しやすいように思えます。

 

 

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”紅白歌合戦”で”投票価値の平等”を説明してみます。

 昨年末の第67回NHK紅白歌合戦では、視聴者投票等では白組の圧勝のようでしたが、

会場の特別審査員の投票結果で、紅組の優勝となりました。

 紅組司会の有村架純さんも結果に戸惑っているように見えました。

 

 

 NHKのサイトやニュース等によると、

視聴者審査(累積);ボール2個 

 紅組2,527,724票  白組4,203,679票

会場審査(双眼鏡で数えるやつでしょう);ボール2個

 紅組870票 白組1,274票

ふるさと審査員(実質6人);ボール1個

ゲスト審査員10名;ボール各1個・計10個

ボール合計15個

結果  紅組;計9個 白組;計6個

ふるさと審査員1個とゲスト審査員10個のボールの内訳は、紅組9個白組2個となります。

ふるさと審査員の1個が紅白どちらだったかは不明です。

 

 視聴者投票は累積だったり、視聴者投票や会場審査が結果として2票だったりしていますので、

投票価値の比較は正確には難しいところもあります。

 ただ、この結果を材料に、投票価値の平等について説明してみたいと思います。

 

 

視聴者選挙区(議員定数2名);選挙人数6,731,403人(2,527,7244,203,679

 →議員一人あたり選挙人3,365,701人

会場選挙区(議員定数2名);選挙人数2,144人(8701,274

 →議員一人あたり選挙人1,072人

ふるさと選挙区(議員定数1名);選挙人数6人

 →議員一人あたり選挙人6人

ゲスト選挙区第1区〜第10区(議員定数各1名);選挙人数各1人

 →議員一人あたり選挙人1人

 

 選挙人数というのは、選挙人(有権者つまり投票する人)の数です。

 上記のたとえでは、議員総数は15名、選挙人数(有権者数)は合計6,733,563人となります。

 

 ここで、投票価値の重い選挙区つまり1票の価値が重い(議員一人あたりの選挙人数が少ない)のは、ゲスト選挙区第1区〜第10区の各選挙区です。

 このゲスト選挙区の1票の価値に比べると、

ふるさと選挙区の1票は、約0.16票の価値しかないことになります(議員1名÷選挙人6人)。

 会場選挙区の1票は、約0.00015票の価値しかないということになります(議員1÷選挙人1,072)。

 視聴者選挙区の1票に至っては、約0.00000029票の価値です(議員1÷選挙人3,365,701人)。

 

 

 紅組党と白組党の2つの政党が各選挙区に立候補者を立てているとします。

ゲスト選挙区の10選挙区のうち、8選挙区が紅組党、2選挙区が白組党が勝ち、

ふるさと選挙区では紅組党が勝った(紅組支持6人・白組支持0人)とすると、

白組党は、4,204,955人(4,203,679+1,274+0+2)の支持を得たのに、6人の議員しか選出できず、

他方で、

紅組党は、2,528,608人(2,527,724+870+6+8)の支持で、9人の議員を選出して、

15人の総議員の過半数を得たことになります。

 つまり、少数の支持しか得ていない政党が議会で過半数を得てしまう結果になりかねないのが、

投票価値の不平等の選挙区割りということです。

 

 

 紅白歌合戦は、イベントですから、テレビに映るゲスト審査員と視聴者の投票価値が不平等なのは、

仕方のないことなのかもしれません(ただ、あまりに差がありすぎるとコンテンツとしても面白味に問題がでているでしょう。)

 

 しかし、現実の選挙(衆議院・参議院の選挙区選挙)では、上記のような極端な不平等ではないものの、

衆議院の小選挙区では宮城5区の1票に対して東京1区が0.46票だったり、

参議院の選挙区では、福井選挙区の1票に対して埼玉選挙区が0.33票だったりしています。

 そのような歪んだ選挙区割りは、温存されたままです。

 今の日本の国会が歪んだ選挙区で選出された議員で構成されているままであることに慄然とします。

 

 

 

 

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新年はじめにやること

 

 

 明けましておめでとうございます

 お健やかな一年をお過ごしください
 本年もどうぞよろしくお願いいたします
 
 さて、新年は、その年の計画を立てたりする方も多いでしょう。
 私も、実行できているかはともかく、計画を考えます。
 計画を漫然と立ててもあまり役に立たないと思いますので、計画の方法が大事でしょう。
 時間的なスケジュールは何かの本で読んだ方法で、3年間の月ごとの予定を立てる表を使っています。
 12段3行の36枠の表に、希望的なものも含めて目標のスケジュールを書き込みます。
 単純にA4の紙を36枠に折って使っています。(パソコンで表を作ればいいです話ですが(笑))
 なかなか3年間の計画・目標・希望を立てるのは難しいです。
 目標と期日、行動計画などを整理した表も有用です。
 沖縄にいた頃に、某社長に教えてもらったものです。
 元ネタは、株式会社LIGの記事です。
 
 目標達成のためにやるべきことの分析には、大谷翔平選手が高校生のときに使ったという目標達成用紙(曼荼羅チャート)が有用です。
 かなり分析が進みますけど、情報が細分化されるので、重要度や優先順位付けが悩ましくなります。

 計画を立ててみても、なかなか従来のやり方や発想から離れられず、今までと同じことの繰り返しになってしまいそうな気になります。

 

 自分ではまだ上手く使えていないのですが、山田壮夫『コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法』十字フレームでまとめる方法論が面白いです。

 

 

 

 どのようにかして何かの計画を立てても、実行しないと意味がありません

 1歩でも実行する年にして、依頼者のお役に立って、社会貢献できればと思います。

 

 

 

 

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