国や地方公共団体の問題

国の役所(税務署を含む)や地方自治体(都道府県・市町村など)が国民・住民に対して、何かの行政処分をすることがあります。

国民・住民に対して不利益な処分の場合もありますし、国民・住民の申請を却下する処分の場合もあります。

 

行政(国・地方自治体)から受けた処分に納得のいかないことがあります。

そのような場合は、自分の権利を守るため、また、より良い社会にするために、不服申立てをすべきだと思います。

 

 

また、国や地方自治体の職員(公務員)の行為によって損害を受けたりする場合もあります。国や地方自治体に損害賠償請求できるのは、憲法17条で認められた国民の権利です。

 

審査請求

処分をした役所やその上級庁に対してする不服申立てを審査請求といいます。

通常は、処分があったのを知ってから3か月以内に申立てをしなければなりませんから、

処分が出てから早期に申立ての準備をする必要があります。3か月はあっという間に過ぎます。

 

 

審査請求の申立ては、処分を受けた個人・企業が自身で行うことができます。

 

審査請求申立書の中で書かなければならない「審査請求の理由」について、事実認定や法律問題を適確に指摘して主張するのは専門知識が必要になります。

つまり、行政側が認定した事実が真実ではないということを資料等に基づき主張したり、手続や適用した法律についての問題を裁判例や文献を引用しつつ構成しないと、説得力のある「審査請求の理由」を書けません。

 

 

事実の主張を整理し構成したり、証拠資料を整理したり、法律問題を検討したりするのは、裁判で弁護士が扱っている仕事です。

また、審査請求の結論にも納得がいかない場合は、地方裁判所に訴訟を起こすかどうかを検討することになります。地方裁判所での訴訟代理は弁護士のみが扱いますので、審査請求の段階から弁護士に依頼しておくのが後で弁護士を新たに探すことに悩まなくて済みます。

 

 

審査請求の理由

審査請求書の書式は、役所のホームページなどで公開されているかもしれません。

しかし、そのような書式では、審査請求の理由の欄は、小さすぎて充分な理由を書くスペースがありません。

その書式を必ず利用しなければならないものではなく、必要な記載事項が載っていれば審査請求書として通用します。

 

書式や必要な記載事項が分かっても、審査請求の理由の書き方は公開されている場合が少ないでしょうし、事案によって書くべき内容は異なりますので、ネット上の情報で書き方を行政処分を受けた本人が探すのは困難だと思います。

 

 

審査請求の対象となる行政処分をひっくり返そうというのですから、審査請求の理由は、しっかり書かないとなりません。

 

 

事実(実際にあった事柄、現実に存している事柄)と、審査請求を申し立てた人が思っている良い悪いとか違法だとかいう評価とは別物です。事実を直接裏付ける証拠は何があって、なぜ証拠になるのかとか、直接の証拠ではなくても他の事実や証拠から審査請求人の主張したい事実が裏付けられること等を審査請求書で説明しなければなりません。

また、行政処分そのものに法律上の問題があるのか、手続に問題があるのかなども主張できる場合があります。

 

 

こういったことをまとめて審査請求の理由として私が書くにあたり、ざっくりと次のように検討します。

 

1)相談者から処分の通知書を見せてもらって、処分理由に記載された事実を中心に、事情をお聞きします。

もし処分理由の明記された通知が無いのであれば、処分理由が提示されていないだけで、処分が取り消される違法になる場合があります。

処分理由の事実が相談者の思う真実と違うのであれば、違うことを説明できる証拠が無いか一緒に検討します。相談者が証拠が無いと思っていても、事情を聞いている中で証拠になりそうなものの存在に気付くこともあります。

 

2)相談の対象となる処分については、多種多様な法律に基づいて処分が出されています。全ての法律を満遍なく知っているわけでもありませんので、処分対象となる法律や政令・省令・通達などを探すことから始まることもあります。

問題となる法律の関係で、適切な解説書などが出ていればそれを見ます。インターネットでの情報収集もします。

また、裁判例を検索して参考になるものがないかを探します。

 

3)上記の1・2での検討を踏まえて、処分取消しを主張する理由を整理します。

 

 

 

処分の手続の問題と処分内容の問題の2つの段階があることや、また、法律と事実の2つの段階があるということは、処分を受けたご本人がご自分で整理してまとめるのは大変でしょう。

 

 

審査請求の流れ

審査請求を申し立てた人(審査請求人)の審査請求書に対して、処分を出した行政庁(処分庁)から弁明書が出されます。

その弁明書に対して、審査請求人から反論書が出され、必要であれば再弁明書が処分庁から出され、という流れになります。

 

審査請求の担当者(審査庁、審理員)に口頭で意見陳述する場合がありますが、基本的には書面で主張します。

 

双方の主張がある程度出揃ったところで終結して、裁決に向けた行政庁内の手続になります。

 

 

 

行政訴訟

行政処分の取消を求める等の行政訴訟は、基本的に地方裁判所に提訴します。

特に法律で禁止されていない場合は、審査請求を経ずに訴訟提起できるようになっています。

審査請求を経た場合はその結果(裁決)を踏まえて、訴状を作成することになります。

 

訴えを起こすには原則として処分や裁決があったことを知ってから6か月です。

この期間を過ぎても、正当理由があれば訴えを起こすことは可能ですが、その正当理由の争いに時間と労力を使うのは無駄ですから早期に訴えを起こすべきです。

 

 

  • 国や公共団体を相手方とする行政訴訟は、次の4つに分類されます。
  • 抗告訴訟:取消訴訟、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴え、法定外抗告訴訟
  • 当事者訴訟:形式的当事者訴訟、実質的当事者訴訟
  • 民衆訴訟
  • 機関訴訟
  • 国民・住民の方の実際の紛争となる案件の訴訟としては、抗告訴訟の一つの取消訴訟や、民衆訴訟の一つである 地方自治法に基づく住民訴訟 が多いかと思います。
  • 上記の「機関訴訟」は、国や公共団体の機関の間の紛争についての訴訟なので、国民・住民が当事者となるものではないです。

  

税務訴訟について

税金の法律関係についての訴訟は、税務訴訟あるいは租税訴訟と呼ばれます。
原則として、訴訟の前に国税不服審判所または知事・市町村長等への審査請求が必要です
憲法84条では、租税法律主義(国民に租税を課したり徴収したりするには法律の根拠が必要であること)が規定されています。
 租税法律主義の具体的内容として次の4つが挙げられます。
⑴ 課税要件法定主義
⑵ 課税要件明確主義
⑶ 合法性原則
⑷ 手続保障原則

税務の紛争は、租税法律主義の観点からの問題になることがあります。

お受けしていない事案

次の事案については基本的にお受けしておりません。
・生活保護申請却下処分取消訴訟
・外国人の退去強制に関する取消訴訟
・運転免許の停止・取消しについて交通違反の事実に争いない場合

 

 

 

損害賠償請求(国家賠償請求訴訟)

「国や地方自治体(都道府県や市町村)、その他の役所っぽい団体のせいで被害を受けた、苦しめられた」

国家公務員でも地方公務員でも、行っていることが正しいとは限りません。また、国や自治体が管理している物が適切に管理されているとも限りません。

公務員の不適切な行為、不適切な管理によって、損害を受けた場合、国民・住民は、国や地方自治体に損害賠償請求することができる場合があります。


国や地方自治体が相手となる事案は、戦うのが困難であったり、裁判所がなかなか国民・住民を勝たせないという問題があり、依頼を断る弁護士がいると聞きます。

私は、国・自治体を相手とする紛争は、国民・住民の権利を守るためにも、国・自治体の将来の行政が適正なものになるためにも、適切に訴訟提起されるべきだと考えております。

 

公務員の行為による損害

日本国憲法

第17条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

 

国家賠償法

第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 

国家公務員や地方公務員等の職務について、損害を被った場合、被害者は、公務員の所属する国や公共団体に対して、国家賠償法に基づいて損害賠償請求をすることが可能です。

公共団体というのは、主な例としては、都道府県や市町村といった地方公共団体(地方自治体)のことをいいます。北海道で言えば、北海道(道庁)や札幌市役所などのことです。
「公共団体」は、地方公共団体に限られませんので、公共組合や公的な法人が含まれる場合があります。

関与した職員の氏名などを特定する必要は通常はありません。

 

 

 

公務員個人に対して請求できるか

加害行為を行った公務員個人に対して慰謝料など損害賠償請求をしたいという方もいます。

国家賠償法に基づく損害賠償請求ができる場合、判例では、加害した公務員個人を相手に損害賠償請求はできないとされています。(最高裁昭和53年10月20日判決など)

公務員個人の責任を追及したい場合は、最高裁の判例の変更を求めて最高裁判所まで戦う必要があります。


国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められる場合は国等から賠償を受けることができますので、被害者が賠償を受けるという観点からは公務員個人の責任を追及する意味はあまりないと言えます。
しかし、特に国は、加害した公務員について故意・重過失は認められないとして求償権行使をしないという判断をして当該公務員を守ったり、事案の解明をうやむやにしているのではないかと思われることがあります。被害者にとっては公務員個人の責任追及をできないことは真意に反することがあり得ます。

 

 

いつまで請求できるか

国家賠償法4条で民法の規定が適用され、損害賠償請求権を行使できる期間が制限されます。
原則として、被害者(法定代理人)が損害及び加害者(加害した公務員)を知った時から3年以内に損害賠償請求をしなければなりません。人の生命・身体を害した場合は、この3年が5年になります。
また、加害行為の時から20年以内に損害賠償請求する必要があります。

国家賠償請求をするのに公務員の氏名を知る必要はないので、国か公共団体かどこの職員かが分かれば請求は可能となりますから、どこの職員か知った時から消滅時効が進行し得ることになります。

消滅時効は、被告となる国・公共団体が時効を主張しないと時効の効果は生じませんし、事案によっては、消滅時効の援用が権利濫用・信義則違反で否定されたり、消滅時効の開始時点が遅く認定されたりします。ですから、過去に被害を受けた方は、被害から3年が経ったというだけで損害賠償請求をあきらめなくて良い場合があります。
ただし、時効の問題の他に、証拠の散逸などの問題もありますから、損害賠償請求をしたい方は早めに対応をする必要があります。

 

 

慰謝料の金額

加害行為により精神的苦痛を被った場合、精神的苦痛に応じた慰謝料の請求ができる場合があります。
請求する慰謝料の金額をどれくらいにするかは難しい問題です。
裁判所で認められる慰謝料金額は、事案によりますし、担当した裁判官の判断にもよります。

交通事故の死亡事故の場合、死亡した本人の慰謝料の金額が2000万円台で認められている場合が多いので、生命を奪われることより酷い精神的苦痛というのを想定するのは困難ですから、慰謝料の上限としては3000万円を下回る場合が通常だと考えます。

ご依頼いただいた事案に類似の事案の裁判例があれば、その裁判例で認められた慰謝料の金額を参考にして、請求額を打ち合わせしていくことになります。

 

 

国や自治体の施設・設備等による損害

国家賠償法第2条1項 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

 

問題となる設備・施設(「公の営造物」)

法律で例示されている「道路」「河川」の他、「公の営造物」に該当する設備・施設の例として、次のものがあります。
・港湾
・水道、下水道
・官公庁舎
・学校の建物
・臨海学校の飛込台
・公立中学校の工作用電気かんな
・給食用食器


国や公共団体が賃借している設備・施設も含みます。

 

 

国賠法1条と2条のどちらの問題か

本サイトをご覧になって、公務員による損害なのか、施設・設備等の瑕疵による損害なのか、どちらの問題かお悩みになるかもしれません。
どちらの条文を根拠に請求するのか、相手は国なのかどこかの公共団体なのか、悩まれて仕方がありません。
ご相談・ご依頼をいただいて、弁護士の方で調査・検討いたします。

 

 

勝訴の可能性など

国や地方公共団体などが相手方となる訴訟は、一般論として、国民・住民側の勝率は高くないと言われます。
国が被告(相手方)となった場合、一部でも国に勝訴できるのは、少し前の統計資料などを見てざっくり言えば、10〜20%だと考えられます。
公共団体が被告(相手方)となった場合は、よく分かりませんが、おそらく国の場合に近いと考えられます。

国や公共団体の側の勝率が高い(原告となる国民・住民の側の敗訴率が高い)のは、国や公共団体は書面で記録を残していることが多いので有利な証拠が残されている可能性が大きいのと、裁判所が国や公共団体の裁量の幅を広く認めがちということが原因だと思われます。

しかし、国民・住民の側が勝訴する可能性が低い傾向にあるからといって、個別具体的な事案の勝訴の見込みがどうなるかは別の問題です。

ただし、弁護士としては数値的な勝訴の可能性を言うのは不可能ですから、私は、何パーセントの確率で勝てそうかという質問にはお答えしておりません。
国や公共団体を相手方とする事案のご依頼を受ける際には、私からは、一般論として国や公共団体を相手方とする事案は不利であること、当該事案での勝ち筋の見込み等を説明しております。基本的に、ご相談の段階で、私から見て勝訴の可能性がほとんど無いと考えられる事案についてはご依頼をお断りしております。(勝訴の可能性がほとんど無いと考えられても、事案の性質上など諸事情を勘案して、ご説明の上で受任する場合もあります。)



なお、弁護士は、弁護士倫理上、自分の勝率を表示することは問題になります。
依頼の事案が勝てるかどうか、そもそも「勝った」とは何をいうのかは、個々の事案によって異なります。また、自分の勝率がどうか、過去の受任事案の結果の統計を取っている弁護士は私は聞いたことはないです。仮に、過去の勝率が高いというデータがあったとして、これから相談・受任する事案には何の関係もないことです。
勝率をうたっている弁護士がいるとすれば、相談者・依頼者を誤導するもので非常に問題です。


公共団体や大企業などの依頼ばかりを受けている弁護士は、結果として訴訟の勝率は高いだろうなとは思います。証拠となる書類は残っている傾向にありますし、住民や中小企業・個人とのチカラ関係は有利なので、有利な契約内容だったりする傾向にあるから、訴訟になっても有利だからです。

 

 

弁護士費用のこと等

行政問題の初回の法律相談料は、無料です。

お問い合わせや、相談後のお見積りも無料です。

 

当事務所の弁護士費用は、基本的に着手金と事件が終了した際の成果に応じた報酬金になります。

経済的な評価の難しい処分取消請求は、原則として49万8000円(税込み)の着手金としています。

弁護士費用は事案ごとに見積もりますので、お問い合わせください。

 

 

日本司法支援センター(法テラス)の利用は一切できません。

 

裁判の結果として全く賠償金・利益が得られない場合や、賠償金を得ても弁護士費用や実費などの費用が高くかかって結果的に赤字になる場合があります。

実務的に申立ての場合は少ないですが、相手方が訴訟の終了後に訴訟費用額確定処分の申立てをして訴訟費用を請求してくる場合があります(多くの場合は数万円です。)。