今年5月に亡くなった村上智彦医師のおそらく最後の著書、『最強の地域医療』(ベスト新書)を読みました。
色々な評価、批判のあった村上医師ですけれど、財政破綻した夕張市に入って仕事をした方であるのは事実でしょう。
この本の中で最も気になった一文は、
「地元の住民が起業して雇用をつくり、納税する以外、地域が再生することはあり得ません。」(155p)
というものです。
財政破綻した地域、過疎地域で行政や地域社会を見てこられた方の大事な指摘だと思います。
北海道は、道庁や国の補助金等をアテにする側面が強いということは他でも見聞きする指摘です。
地元で起業して地域再生に繋げるというマインドの広がりが必要なんだと思います。
麻生みことさんの『そこをなんとか』の13巻が最近出ました。
弁護士の仕事について、面白く分かりやすくマンガにした作品です。NHKでドラマ化もされています。
ただ、今回は、そろそろネタが切れてきたのか、キャラクターの人間関係の進展に比重がかかったのか、以前の巻より法律問題について扱うのが薄くなった気がします。
今後の展開に期待します。ただ、連載が隔月刊誌なので単行本が1年に1冊ペースなのが残念です。
今巻でちょっと気になったエピソードは、法律相談を受けた件の相手方から別の機会に同じトラブルについて相談を受けて、結局、双方の話合いに同席するようなことになるというのがありました。そのエピソードの中でも触れられていましたが、弁護士職務基本規程という弁護士が職務上守らなければならないルールがあります。
相談を受けた件の相手方から同じ相談を受けるのもそのルールに違反しますし、双方の話合いに同席にして意見を述べるというのも問題ありでしょう。
今回のエピソードでは、決着していますし、主人公の弁護士に紛争の当事者のどちらかからクレームが来たりはしないでしょう。
しかし、実際のトラブルの場合に、当事者間のどちらにも付かないという体で話合いの場に同席して意見を述べたりすれば、話合いの結果に不満を持った方から弁護士が不正・不公平であったということが言われてしまう可能性が少なくありません。
そういうことになれば、紛争の解決にもなりませんし、弁護士一般の信頼も損なうことになります。
こういう問題があるので、そのエピソードでの主人公の弁護士の対応には疑問があります。
もし、弁護士や第三者を間に挟んで話合いでの解決を図りたいのであれば、弁護士会等のADRという手続や簡易裁判所での民事調停を利用すべきです。(主人公の弁護士が、ADRや民事調停を案内していれば、そこで話が終わるので、マンガとしては成立しなかったのでしょう。)
マンガというフィクションと現実は違うというのはあるにしても、作品はかなり実際に近い内容ですので、弁護士や裁判に興味のある方にも無い方にもお勧めしたい作品です。
前回(6月23日)のブログ憲法53条の国会召集でも書きました、内閣が臨時国会の召集決定をしないことの問題について、ジジコに私の記事が公開されました。
臨時国会が開かれない異常事態!内閣は早急に臨時国会を開くべき
上記ブログの記事内容をより整理していますので、ご覧いただければ幸いです。