「主要農作物種子法」を保護する。

 

 

 

 主要農作物種子法が廃止されようとしています。

 

 種子法は、主要農作物(稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とした法律です。「ほ場」(圃場)とは、田畑のことです。

 種子法によって、わが国の主要農産物の種子は保護されてきました。

 

 今国会で、内閣が、種子法を廃止する次の法案を衆議院に提出しています。

 

主要農作物種子法を廃止する法律案

 主要農作物種子法(昭和二十七年法律第百三十一号)は、廃止する。

   附 則

 この法律は、平成三十年四月一日から施行する。

 

     理 由

 

 最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 上記のように、具体的な理由は記されていません。

 種子法の廃止については、種子の高騰や外資系企業(というか米国の企業)の遺伝子組み換えの種子が流入するなどの危険が指摘されています。

 わが国が瑞穂の国である時間もわずかなのかもしれません。

 

 

 私には、種子を保存しておくことはできません。

 廃止によって政府の法令のサイトでも種子法が消されるかもしれませんので、種子法だけでもブログに保存しておきます。

 

 

〒060-0003 札幌市中央区北3西7 1-1 SAKURA-N3

北海道コンテンツ法律事務所

弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

http://www.sapporobengoshi.com

 

ブログ http://bit.ly/2eOFTn8

 

 

 

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札幌高裁への控訴

 

 

 

 北海道には、地方裁判所が4つあります(札幌地方裁判所、旭川地方裁判所、函館地方裁判所、釧路地方裁判所)。

 

 地方裁判所の民事事件、刑事事件の控訴事件や家事事件の抗告事件は、高等裁判所に申立ることになります。

 北海道内の地方裁判所・家庭裁判所の事件は、札幌高等裁判所に申し立てます。

 札幌高裁には支部がありませんので、札幌市内にある札幌高裁(札幌地裁と同じ場所)に全て係属することになります。

 

 

 旭川、函館、釧路の裁判所の事件の判決に不服があっても、札幌が遠方ということで、心理的に控訴をためらう人がいるかもしれません。釧路の控訴率が平均より特に低いという話もあります。

 

 また、遠方ということにより、本人の交通費や、弁護士の日当・交通費がかさむことを心配して、控訴することをあきらめる場合もありえます。

 

 

 しかし、控訴審は、初回期日は裁判所に行かなければならないとしても、初回で結審することもありますし、

弁論準備手続になれば電話会議システムを使って裁判所まで行かずに済む場合もあります。

 

 控訴すること等をあきらめるのではなく、費用が心配なら、一審で依頼した弁護士等に費用の見積を聞いて判断すべきでしょう。

 なお、北海道に限った話ではありませんが、電話会議を使えば済むのに、日当欲しさにわざわざ出張する弁護士もいます。

 

 札幌地裁の管轄地域以外の方が一審の弁護士を変えたい場合、高裁のある札幌の弁護士に依頼することも可能です。

 新しい弁護士を探したり、イチから説明をしたりする不便があるかもしれませんし、打ち合わせがしづらいというデメリットがあるかもしれません。

 地元で弁護士を探すか、札幌の弁護士を探すかはそれぞれのメリット・デメリットがあるでしょう。

 大事なのは、地元かどうかではなく、信頼できて自分に合う弁護士に依頼することだと思います。

 

 

 

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税金の滞納処分(強制徴収)と令状主義

 

 

 

 税金を滞納して、督促を受けて払わないと、財産が差し押さえられること等があります。

 税金の滞納者の財産から強制的に滞納された税金を回収することを滞納処分(強制徴収)といいます。

 滞納処分は、税務署の職員ら(徴収職員)によって行われます。

 滞納処分のため必要があるときは滞納者の物や住居などを捜索することができます。

 

 これらの手続は国税徴収法に規定され、地方税については地方税法で準用されています。

 

 

 ところで、我が国の憲法の第三章国民の権利及び義務には次の規定があります。

第三十五条  何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

 

 2  捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
 1項の第三十三条の場合というのは、現行犯逮捕の場合を指します。
 2項の司法官憲というのは、裁判官のことです。
 つまり、憲法35条の1項は、誰に対しても住居や物を捜索したり押収(差押え)したりするには、現行犯逮捕の場合以外は、正当理由に基づいていて、場所や物が明示された令状が必要だと規定しています。
 さらに、憲法35条2項で、その捜索・差押は、権限のある裁判官が出す令状によって行うとされています。
 憲法35条によるルールを令状主義と言います。
 となると、疑問なのは、税金の滞納処分において、裁判官の令状無しで、
税務署の職員や地方自治体の税務課の職員が、滞納者の財産を捜索したり差押えができているのは
令状主義に違反するのではないかということです。
 つまり現行の滞納処分の制度は、憲法違反ではないかということです。
 この点について過去の裁判例も無いようです。
 任意の質問・検査については最高裁の判例(昭和47.11.22)があり、その中では、
憲法35条1項の保障は刑事手続に限定されるわけではないことは言及されています。
 憲法や税法の教科書などで、令状主義と滞納処分の関係についてよく取り上げられるようなものではないようです。
 私の手元の書籍では、言及はありません。
 憲法学者からすると、憲法35条あたりは、憲法のメジャーなところというより刑事法で議論されるようなとことなのでしょう(偏見)。
 刑事法の学者からすれば、憲法35条と税法との絡みは興味ないしでしょう(偏見)。
 税法の研究者は、徴収手続の中での憲法の絡みには憲法分野で議論すればいいと思っているのかもしれません(偏見)。
 税務訴訟で争われたことはあったのかもしれません。そうであれば、公刊される判例になったり、教科書的にメジャーな論点にはならなかったのかもしれません。
 その点についての論文を書かれた研究者がいれば、私の不勉強をお詫びします。
 過去にどの程度の議論があったにせよ、
上記の憲法上の問題の他に、現行の滞納処分の制度やその運用には、国民の財産を保障する観点から問題が多いと思います。
 立法的な検討・改善も大事ですし、裁判を通じて改善していけることもあると考えています。
 機会があれば、上記の点についても最高裁判所の憲法判断を求めてみたいです。

 

 

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