今回、SKYビルでは、SAKURA N3に入居している北海道コンテンツ法律事務所の林 朋寛 弁護士にインタビューを行い、これまでの弁護士業務のエピソードや実績、そしてその経験から生まれた弁護士としてのこだわりについて語ってもらいました。


林 朋寛 弁護士

北海道コンテンツ法律事務所代表。札幌弁護士会所属。江別市出身。
大阪大学法学部、京都大学大学院法学研究科を卒業し、2年間東京で法律事務所に勤務、先輩の教えのもと精進する。その後沖縄県の法律事務所に約5年間在籍。沖縄の事務所では法人・個人ともに様々な案件を手掛け主に労働問題や債積回収などの民事事件などを多く扱う。その後、更なるステップアップのために自身で「カフー法律事務所」を設立。4年間に渡り沖縄の依頼人の法律トラブル解決に貢献。平成28年には地元である北海道へ帰参。札幌市のSKYビル「SAKURA-N3」にて「北海道コンテンツ法律事務所」を新たに開設。行政問題や税務問題、個人事業者の法務などをメインに色々な案件を扱っている。

 

 

扱う案件は多岐に渡り、時に国や都道府県、行政機関と戦うことに。

林さんが、取り扱ってきた案件には、どんなものが多いですか?

東京・沖縄・現在の札幌と日本中、北から南までそれぞれの場所で色々な経験を積んで来ました。

まず東京時代は、刑事事件、民事事件と両方を経験しました。割合としては同じくらいだったと思います。先輩弁護士に指導していただきながら、あらゆる案件を経験させてもらいました。弁護士としての物事の考え方や弁護の勧め方、依頼者とのコミュニケーションまで弁護士としての土台を東京で積み上げた感じです。

沖縄時代はどちらかというと民事事件を取り扱うことのほうが多く、法人だと契約上のトラブル、労働問題などが多かったです。個人の事件だと交通事故や不動産の紛争などのほか、著作権や課税の問題まで様々な案件を取り扱い実務経験を積みました。沖縄に移ってから5年で自分の事務所を持てるくらい東京・沖縄の法律事務所では沢山の経験をさせてもらい、環境にもとても恵まれていたと思います。

札幌に移ってから、多く扱う案件は、行政や地方自治体、税務関係のものです。地方自治体とのトラブルでは、何か処分を受けた公務員の方からの依頼であったり、納得のいかない行政処分を受けた方からの依頼であったりと内容は様々で、国や地方自治体と戦う事も多いです。沖縄にいた時に税務トラブルに関する案件を多く受けていた経験が今に生きてきている感じです。今後は税理士などの多職種との連携も行いながら実務をしていきたいと考えています。そういう面では、今後はもっと多職種との連携や横の繋がりも増やしていきたいですね。

 

 

依頼者には良い人も悪い人もいる。そんなさまざまな依頼者とどう向き合うべきか 多くの実務経験から学んだ。(東京・沖縄での経験を通して)

林さんは、東京と沖縄で弁護士として長く働かれていますが、そこで学ばれたことについて教えてください。

多くの実務経験のなかで学んだのは、依頼者は、良い人ばかりでなく、悪い人、嘘をつく人もいるということです。我々弁護士は、どんな依頼者であっても一度受けた事件を簡単に投げ出すわけにはいきませんし信頼関係を作っていかねばなりません。正直に言うと仕事でなければ関わりを持つ事が無いような依頼者もいましたが最後までやりぬく姿勢で接してきたことで、どんな依頼者であっても対応し、信頼関係を築くことができるようになりました。人との付き合い方や、どんな人がいて、どんな考え方をするのか?といった人の問題は、いくら法律を学んでも本には書いていませんし、座学では学ぶことはできません。実際に多くの事件を取り扱い、仕事を投げ出さなかったことで、それを学ぶことができたことは、私の弁護士としてのとても大切な経験になりました。

 

 

弁護士業務は危険なことも・・・。冷静に対応することで鎮静化させる。

いろんな依頼者がいるとのことですが、それは危ない人もいたりするのでしょうか?

依頼者も色々な方がいますし、相手方が危険な場合もあります。例えば、ストーカーやDV、暴力団関係の場合などです。対応の仕方はいくつかあるのですが、例えば、危険な相手とは二人きりで交渉をしないなどが大切です。また所内で、あばれたり、大声を出すような相手には、ある一線を超えれば警察に連れていかれることを、法律的にわかるように相手に冷静かつ強く伝えます。一応、私は法律家ですから、相手もそれを言われると少しおとなしくなって、お帰り頂けることが多いです(笑)決して感情的にはならず、冷静に話を聞き対応する事を大切にしています。

 

 

 

 

 

 

わかりやすさ、早いレスポンス、説明と報告は確実に。

林さんが、弁護士として大切にしていることを教えてください。

まず私が大切にしている事は「依頼者が安心できる」という事です。そのために、分かりやすい言葉で説明をする事や早いレスポンスを心がけています。それでなくても、依頼者の立場から弁護士に頼まなきゃいけない何かがあって、不安な心情があると思います。そして法律関係の事は、依頼者からすると難しい分野ですので、私が分かりやすい説明や早いレスポンスをする事でトラブルの最中に少しでも安心してもらえればと思います。また問い合わせが来た時は、なるべく提案やアドバイスするようにしています。まだその案件を受けると決まったわけではないのですが、いつの間にか長電話になったりしてしまい話し込んでしまう事もあります(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼者のことを考えながら、良い準備書面を作り上げたときの達成感。

林さんが、弁護士業務でどんなときにやりがいを感じますか?

もちろん、裁判などで依頼者にとって良い結果が出たときです。

結果にいたるまでにも、専門職としてやりがいを感じることはあります。例えば、準備書面で良いのが書けた時ですね。準備書面とは、当方の言い分を記載して、裁判官にその言い分を認め受け入れてもらう様、説得するための書面のことです。この書面で裁判官からの印象が変わってきますし、曖昧なものであると懐疑心を持たれかねません。なので、出来るだけ証拠を集めたり過去の判例を調べたりと根拠があり、説得力のあるように仕上げていきます。事案によってはファイル1冊から数冊と分厚くなる事もありますが、この一つひとつの作業が依頼者のためになると考えているので、毎回自然と熱が入ってしまいます。なので、これが上手く出来た時にはとても達成感がありますね。裁判官が読んで、こちらの主張を理解しやすい形で論じる事も重要だと思っています。

 

 

どんな依頼者でもお役に立てるように努力はするが、真摯な気持ちのある依頼者のために働きたい。

林さんは、どんな依頼者に来てほしいとかありますか?

基本的にどんな依頼者からの相談も受けていますし、今までの経験で対応をする事が出来ます。困っている人のお役に立ちたいという気持ちが根本にあるので、依頼者を選ぶということはなるべくしないようにしています。

ただ、ずるい考えを持った依頼者、世間一般から見て悪質な依頼者には、違うものは違う、おかしいものはおかしいと、助言する事も時にはあります。真っ当な人を守りたいというのが本音としてありますので、そのような方々のお役に立って行きたいと思っています。

 

 

弁護士はまだハードルが高い。ハードルを低くしてもっと身近な存在になりたい。

林さんの、今後やってみたいこと、挑戦したいことがあれば教えてください。

本当はもっと日常的に弁護士を使って欲しいと思っています。裁判になる前に対策をしておいた方が良い場面は多くありますし、それが依頼者のためになる時もあります。何かトラブルに遭った場合、裁判になる前から相談に来ていただいた方が、事前にトラブル予防にもなり、依頼者の立場からすると費用面の節約にもなります。裁判になってから弁護士が出るのでは無く、予防策として弁護士を使うという事の価値を今後は広めていけたらなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年9月10日 SAKURA-N3 会議室にて インタビューアー 広報:乙川あさみ
Photo by Chihiro Nakaya